大田原市の水防団

1442 ~ 1445
水防団の発足については定かでないが、旧佐久山町歳出入予算書綴をみると、明治二十八年(一八九五)に警備費、うち備品費の付記に水防具(二四円九八銭・同上五円七〇銭)、また、同年追加予算警備費のうち、備品費(三四円七一銭八厘)水防器具新調費とあることから、箒川が流れる佐久山町においては、水防組が消防組に併置されて、水防活動が行われていたものと推定される。
 昭和九年七月、県令による「改正消防組規則施行細則」(「栃木県警察史」)によると、第一章組織の第二条に「水防組ノ設置ナキ市町村ニ在リテハ消防組ヲシテ水災警防ノ事務ヲ兼シム」附則「本則ハ水防組ニ之ヲ準用ス」とあることから、水防組はこの消防組規則施行細則に準じて、消防組が兼務して水災警備にあたっていたものと考えられる。
 戦後は「水防法」が同二十四年六月四日公布され、消防団と類似した団体として水防団ができた。大田原市の水防計画(昭和三二年四月一日現在)によると水防本部・水防団組織活動・水防訓練等が行われている。水防計画は第一章から第一〇章まででなっている。第9表に大田原市水防計画の概要をあげる。
第9表 大田原市水防計画の概要
  一、面積 一三三、五〇〇平方キロ  人口 四三、〇三一人  世帯数 七、七五〇
  二、水防団の組織
    水防本部長    市長    一名
     〃 副本部長  助役    二名
     〃 本部付   収入役   一名
        〃    総務課長  一名
本部に於ける事務担当班人員
班名班長班員
総務
技術
情報
調査
給与
会計
救護大田原医師会

水防団
 水防団長    一名
 水防団副団長  二名
分団分団長副分団長部長団員数地区名
第一分団一〇二二〇大田原
第二分団二七〇親園
第三分団一七五三〇金田
第四分団一八三野崎
第五分団二五〇佐久山

三、要水防河川及び箇所
   箒川   八箇所  一、四五〇メートル
   百村川  二箇所    四〇〇メートル
   蛇尾川  一箇所    三〇〇メートル
(一) 危険予想箇所
危険度河川名場所左右別延長
メートル
予想被害平水位
メートル
通報水位
メートル
警戒水位
メートル
工法既往最高水位
メートル
特危蛇尾川中田原河原三〇〇家屋四五、田三〇町〇・六〇一・八〇二〇〇木流し積土俵三・一〇
昭一三・九・一
箒川薄葉一丁目二〇〇田五〇町〇・四〇一・五〇一八〇三・八〇
昭二三・九・一五
平沢馬坂下二五〇田七五町
危険佐久山立河原二〇〇〇・四〇一・八〇二五〇二・九〇
昭二五・八・二
〃  山王下一〇〇家屋一二
〃  松原下三〇〇
〃 大神水尺一五〇田一〇〇町〇・五〇一・六〇二〇〇三・四〇
昭二二・六・一五
福原百間土手一〇〇田七〇町
〃  下河原一五〇〇・三〇一・六〇二〇〇三・二〇
昭二二・六・一五
百村川滝岡左右四〇〇田四町

(二) 水防倉庫
番号所在スコップ唐鍬カケ矢両ヅル手斧
親園二〇
福原一〇
野崎二〇ペンチ五
七二佐久山二〇
七四中田原二〇
九〇二〇一四二一一八二〇一九
 
番号ハンマー鉄線
キログラム
ガス燈有線電話
一五二〇〇二〇二〇
一〇二〇〇二〇五〇
一〇四〇〇二〇五〇
七二ペンチ三三〇三〇〇一〇二〇
七四一〇三〇〇三〇三〇
一六一一七五一四〇〇一〇〇一七〇
(「大田原市消防本部消防統計」昭和三二年)