昭和の火災

1462 ~ 1469
昭和になっての火災は、金田村消防関係綴(金田・第一一一)、大田原市消防本部および大田原地区広域消防組合消防統計に基づいて、大田原市に関係ある事項を抜粋して掲載する。
 昭和初期の昭和三年から昭和七年の火災については、大田原警察署管内八か町村のものである。野崎については当時矢板警察署管轄であったのでここにあげることができない。
 火災の原因については、昭和六年のものをあげた(第22~24表)。
第22表 最近五カ年間火災統計表
(大田原警察署)
町村名大田原町金田村親園村佐久山町西那須野町狩野村箒根村塩原町同損害額(円)
年次
昭和三年一2三2三1一四5七二、五七八
昭和四年七 八 四 (表)二六 一二、六〇〇
昭和五年四 一 四 三1一九1三一、二〇九
昭和六年(表)三 四 三 一 一1一四1四、六〇六
昭和七年七 一 二 一 二〇 一四、三六〇
一一二二2一三一七2一二1八1一1九三7一三五、三五三
備考 表中ノアラビア数字ハ山火事ヲ示ス
   同、(表)ハ無火災表彰ヲ受ケタルモノヲ示ス
   塩原町ハ昭和二年二月二十四日以降満二年間無火災ニ付昭和四年四月二十六日付表彰ス
   大田原町ハ昭和五年十二月五日以降満一年間無火災ニ付昭和七年一月二十八日付表彰ス
(金田・第一一一)

第23表 最近五カ年間ニ於ル火災損害状況表
年別火災件数火災戸数山林火災反別人畜死傷数同上損害額(円)摘要
住家非住家
昭和三年一四 5三七一五五二五丁歩畜一七二、五七八
昭和四年二六 1二三三六五九畜一一二、六〇〇
昭和五年一九 1二三二一四四八五丁歩畜一三一、二〇九
昭和六年一四 1一六二一三七一五丁歩四、六〇六
昭和七年二〇  一五三二四八一四丁歩畜一一四、三六〇
九三 8一一四一二六二四〇一一九丁歩畜一一三五、三五三
備考 表中ノアラビヤ数字ハ山林火災ヲ示ス
(金田・第一一一)

第24表 昭和六年度火災度数原因及損害調
町村名原因損害摘要
取灰弄火火鉢吸殼不詳
大田原町
金田村三八〇・〇〇
親園村二〇〇・〇〇
佐久山町七一六・五〇
西那須野町一、一一〇・〇〇
狩野村一、七四二・〇〇
箒根村一一〇・〇〇
塩原町二二五・〇〇
一四四、四八三・五〇
(金田・第一一一)

 統計からみると、年によって火災の発生件数は異なるが、五か年間の合計からみると、大田原市の関係旧町村では、佐久山町は比較的少ないが金田村は多い。八か村の火災件数をみると、火災戸数の住家一一四戸はかなり多い。火災の原因は、取灰、子どもの火遊び(弄火)、火鉢によるもの等が多くあげられる。
 つぎに、「大田原市消防本部統計」による昭和三十一年~四十五年に至る一〇年間の、火災の原因別損害見積額および「広域消防本部消防統計」による大田原市関係の同四十五年~五十年までの原因別火災件数、同四十五年~五十年の火災概況を記す。
 第25~27表をみると、火遊び・たき火・たばこ・煙突・こたつ・野火・電気関係・石油風呂等の原因によるものが比較的多いことがわかる。
第25表 過去一〇年の原因別損害見積額
年度昭和
三一
三二三三三四三五三六三七三八三九四〇合計及金額(円)
原因別
火遊び一〇一二一〇六九九、八一〇、五二二
たき火一〇二八四三七、三三〇
たばこ二〇五、二四〇、一五〇
煙突二三三、六六六、四〇〇
こんろ石油二三一、六八九、五七〇
ガス五九、一四〇
しちりん一二、二五〇
こたつ二一七九四、四二〇
取灰二三一、七六七、九五五
マッチ一四九三四、二四〇
ローソク一、七六〇、八五〇
石油ストーブ三〇、五四〇
残火一三四、一三九、八一〇
野火一一二三一四一、一〇〇
かまど三、〇四八、三〇〇
いろり八、五六三、七〇〇
火消つぼ一七、一〇一、三八〇
育すう器二、四五三、五七五
落雷一〇七八五、七五〇
ボイラー一五、一〇〇
ガソリン引火六二八、二九〇
バーナー二八三、二一八
電気アイロン三、二三一、五〇〇
モーター三一四、〇〇〇
電熱器九六、〇六〇
その他一二八四九、三〇〇
放火六一一、七〇〇
車両電配
エンジン逆火一六、三〇〇
その他六五、四〇〇
不明四一六、四一八、八〇八
その他二七、六〇〇
二九三一二五五二五五四七四九四二六三四〇二七四、九九三、二八八
(「大田原市消防本部統計」昭和四〇年度)

第26表 大田原市内原因別火災件数
年別昭和四五四六四七四八四九五〇
原因別
コタツ
畦畔焼二〇
火遊び一四
タバコ二〇
練炭コンロ
煙突の飛火一〇
たき火二七
火入れ
かまど
乾燥機
石油風呂釜一二
焼却炉の過熱
落雷
ガソリン・シンナー引火
放火(含疑)
プロパンガスコンロ
マッチ
灰焼
石油ストーブ
保温器の過熱
エンジンの逆火
排気筒
配線の短絡
プロパンストーブ
電気コタツ
薪風呂釜
漏電
内燃機関
電気溶接の火花
煙突の過熱
プロパンガスに引火
取灰
しちりんコンロ
プロパンバーナー
ヘアドライヤー
交通事故
燻煙器
ガス湯沸器
ヒータースイッチの切り忘れ
焼却炉
残火
焙煎釜
蜂取り
モーターの過熱
煙道の亀裂
 
不明一五
調査中
 
四一三五二四三九三二二八二〇九
(「大田原地区広域消防組合消防本部消防統計」)

第27表 昭和四五年以降五〇年の火災概況(大田原市のみ)
昭和四五年四六四七四八四九五〇
区分
件数四一三五三四三九三二二八
火災種別建物二五一三二三二五二〇一四
車輌
林野
その他
焼失棟数部分焼一五一五一六一〇一一
半焼
全焼二〇一二一一一三
罹災世帯数部分焼一四
半焼
全焼
罹災者数七一一六六八一八一四三四六
死傷者死者
傷者
焼失面積建物(平方メートル)一、四〇七七二三九八六九五一九五二五二四
林野(アール)六九五六三七四九七五一六二四二
損害見積額(千円)建物二五、六六六二二、四五二一二、五五八四八、七七六二六、五二四一四、七一八
車輌二、七二九三、二九八五九三七一九二〇九〇三
林野九五三五八七〇一一三五二一
その他七二六七九一八、三九五
四四六
合計二九、三四九二五、八一六一三、二二七四九、五七八二七、二五八三四、四八三
(「大田原地区広域消防組合消防本部消防統計」)

 昭和も戦前と比べて戦後は、経済の急速な発展により、火災の原因も多種多様化し、損害額も非常に増大している。