佐久山町隣保協会は、昭和十五年農村隣保施設助成制度によって、設置されたものである。同年五月二十日付け厚生次官通牒によって、助成が決定されたので、県では八か所の町村を決め、それぞれの町村に創立及び事業内容等の指導を行った。那須郡関係では、佐久山町・両郷村が指定を受け、同年八月二十一日創立し、事業を開始したのである。
各町村とも、「隣保協会会則」や「事務執行細則」などの準則が示され、全町村とも同様の会則などが制定されて、その目的には「隣保相扶ノ観念ニ基キ乳幼児・児童及母性ノ適正ナル保護ヲ中心トシ進ンテ相互ノ生活安定並向上ヲ図ル」(「栃木県社会事業史」)こととして設立されたのである。事業内容としては、会則によれば、保育事業・母子及妊産婦保護事業・保健衛生事業・教化事業等を行ったのである。
佐久山町隣保協会においては、佐久山町母の会(昭和三年設立)が主体となって保育事業を行ったのである。
そもそも母の会は、育児教育に意を注ぎ、子を育てるために、自らの教養を高めようとして発足した団体であったので、意欲的にこの事業に取り組んだといわれている。佐久山小学校の一隅を借用して保育所を設け、保育の実践を行ったのである。