大田原市の水道

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大田原市の水道事業は、昭和三十九年に開始され、以来主として市街地における住民の生活用水の供給を続けてきたが、近時市街地周辺地区の開発が進み、生活環境の多様化による地下水の汚染・汚濁等が著しく、水道に加入するものが漸増し、更には、周辺農村地帯の住民からも井戸水の汚濁枯渇等が訴えられ、水道の供給要望が極めて多くなっているのが現状である。
 市では、これらの事情に対処するため、同四十七年度に第一次拡張事業計画(薄葉・下石上の一部)を遂行し、同四十九年から第二次拡張事業(中田原・荒井・町島・上奥沢の一部)を施行したが、それでも計画給水人口は、約一八、一〇〇人にとどまり、行政区域内人口の約四二、〇〇〇人に対して約四二パーセントの普及率である。
 残された未給水人口二万人に対する給水計画は、その根幹となる水源において重大な局面に達し、苦慮していたところ、同四十九年において栃木県北那須水道用水供給事業の構想が樹立され、本市は他の三市町(黒磯市・西那須野町・塩原町)と共に、同五十三年度から同六十年度にいたる用水供給の協定を、県との間に締結し、大田原市としては全市給水を目標とした第三次拡張事業計画(羽田・乙連沢を除く)を策定し、現在推進しているのである。
 佐久山地区は、大田原市の南部の丘陵地帯に位置し、人口約二千、かつての城下町であった。昔から地下水枯渇等により飲料水には恵まれず、昭和三十九年に簡易水道を設置し、生活用水の確保を図ってきたのであるが、同五十一年度において、大神地区の一部と大沢地区への給水を主とした簡易水道第一次拡張事業を施行した。
 第21表は、本市における水道の需要状況である。
第21表 水道の需要状況
単位:m3 各年度末現在
年次総人口給水戸数給水人口普及率年間給水量一日平均給水量
昭和
49年度42,6244,94818,18742.71,446,9133,964
5043,1095,64620,63547.91,641,7224,498
5143,5776,07622,15450.81,717,9164,707
5244,0386,29123,50053.31,803,9204,942
5345,7006,88225,90156.71,994,2405,464
(「統計書 おおたわら」昭和55年)

 佐久山東部簡易水道の地域は、大田原市佐久山(平山・佐久山南部)・藤沢・福原及大神など、川沿いの水田地帯と山林丘陵地帯とで形成される純農村地域である。この地域の農業用水は、沢水又は地下水に、生活用水は井戸水に依存していたが、冬期は井戸水が枯渇する地区が増加しているため、簡易水道の設置が叫ばれていたのである。
 たまたま、同五十二年度から農林水産省所管の農村総合整備モデル事業が導入され、その中に営農飲雑用水施設整備事業を実施し、水問題を解決しようとするものであり、現在施工中である。
 なお、佐久山簡易水道及び大田原・野崎地区の水道施設の概要は第22・23表とおりである。
第22表 佐久山簡易水道施設の概要(昭和42年)
     起工   昭和38年8月
     竣工   昭和39年3月
     工事費  14,895千円
     給水人口 2,200人 1日最大給水量330m3
     施設
数量施設の概要
水源施設水源伏流水(箒川)
水源井深度5.6m,内径1.5m
浄水送水施設送水ポンプ2電動機直結 9段ボリコートポンプ2台
内ガソリンエンジン直結2台
滅菌装置2壁掛型真空式塩素滅菌機2台
送水管993ACPφ100m/m
配水施設配水池2255.3m3
9.25m×4.6m×3.0m=127.65m3
配水3,825mAPC 50~150m/m
その他消火栓17
(大田原市水道課)

第23表 大田原地区及び野崎地区一部の水道施設の概要
     起工   昭和40年10月9日
     竣工   昭和42年6月30日
     工事費  149,010千円
     給水人口 20,000人 1日最大給水量4,000m3
     施設
数量施設の概要
水源施設水源井2地下深度450m,口径350m/m
浄水送水施設ポンプ設備3口径125m/m,電動機19kW
揚水量1.67m3/min,全揚程38.0m
滅菌装置2真空式塩素滅菌機100~400g/h
送水管784mφ300m/m L=784.0m,メカニカル型
セメントライニングダクタイル,砂型遠心鋳鉄管
配水施設配水池2有効容量1,200m3
内法15.2m×12.0m×有効深水3.5m
配水管51,710mA.C.P CIP
φ350~50m/m
その他消火栓146地下単口副弁付
(「市勢要覧 おおたわら」昭和46年)