第1トレンチ(第4図)

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 幅2m,長さ30m。5m毎に6等分して南から北へⅠ,Ⅱ,……Ⅳ区とする。区によって層厚に若干の差違があるが,地表から前述の5層を経て田原ローム上面まで100~150cmであり,遺物は第3層下半部に集中しその下の若干細礫を含む第4層にも及んでいた。

4図 第1トレンチ

 図中のドット部分は焼土を示す。
 Ⅰ区
 第3層の下半部に,ほぼ同じ面に土器破片・礫等が固って出土した(写真4・上)。第4層上半部で磨製石斧(写真27,地表下66cm)が,同様深さでトレンチ東壁に不整半円状に焼土の拡がりがみつかった。
 Ⅱ区
 第3層から堀之内Ⅱ式が出土,その下の下半部から第4層にかけて阿玉台式・加曽利EⅠ式が出土し,遺物を分離できた。トレンチ西壁よりに内部が袋状に広がる土壙がみつかった。開口部は120~130cmで,地表下85cmのローム面で確認され不整円形であり肩部に焼土があった。深さは85cm,底径は150×155cmで内部に遺物はなかった。
 Ⅲ区
 地表下70cmの第4層下半部から凹石(一部を欠損)が出土。土器片の出土層位はⅡ区と同様で,隣接するⅣ区との境で第4層中に焼土の広がりがあった。
 Ⅳ区
 第3層上部で堀之内Ⅱ式が出土,第4層から阿玉台式土器破片(約20片)と磨製石斧・石鏃が出土した。隣接するⅤ区との境のトレンチ東壁に接して,第4層中で黒色土で充填された土壙がみつかった。断面は円筒状で底部はローム層中にある。この土壙の開口部近傍に小いさな不整形を呈する焼土の薄層が見られた。
 Ⅴ区
 黒色の表土及び黒褐色土の約40cm余を経て褐色土になる。土器片多数と共に石鏃・敲石・黒曜石破片等が出土。ローム面でトレンチ壁に接し楕円形の土壙開口部を発見(写真4),地表からこの面までは約80cmで口径75×93cm・深さ250cm余,開口部から130cmほどの部分から広がって袋状を呈するもので,後述する多量の土器個体を出土した。
 Ⅵ区
 第3層下部より小型の手づくね土器(写真5),同層中で無柄石鏃が出土(地表から60cm)した。第4層中でトレンチ北端部分で小型浅鉢が出土(写真5),また打製石斧2点が出土(地表から72cm)した。この部分は黒色土が深く落込んでおり住居址の一部であることも考えられた。