T3の土壙

26 ~ 26
 第3層における土器片のブロックをとり除いた下からローム面から45cmの段差を経て,開口部(口径45×50cmほど)が現われたもので内部が袋状に広っていた。壙底までの深さ約100cmのうち,開口部から約55cmの部分に炭化物を混えた焼土(厚さ2~5cm)の広がりが認められた。深さ70cmの部分に磨製石斧(刃部の一部を欠損)が出土(写真5)。壙底には無文の同一個体の土器破片(阿玉台式)が裏面を上に〝放射状〟(野帳)に広がり貼りついていた。この土器片は朱が塗ってあった。充填土は混土ロームで礫を含んでいた。
 第3層中の土器片は阿玉台式(新)で多孔凹石破片と共に出土している。土壙内部から出土している土器片も,縄文を地文とするもの,区画部に鋸歯状沈線を引くもの,隆線の背に縄文を施すものなど,いずれも新しい段階の阿玉台式の特徴を示している。