第1類(49~53・56・57・74~76・85)
口頚部がゆるく外反するか若干内弯する深鉢形で中・小型土器。平縁が一般的。文様構成によって3タイプある。口頚部に横帯文を連鎖させ,胴部に刻み目を何段かに廻らすもの(49~52)で,地文をつけないグループで49が代表例。阿玉台式の伝統を保持している一群である。次は,口縁部にY字状の凸帯や指圧痕を伴う隆線を廻らす程度の部分的な文様を施すもの(53・74~76・85)で,無文か粗雑な縄文をつける程度の〝省文様〟化の一群。いま1つは,全面に縄文をつけただけのもの(56・57)で,口縁部の肥厚帯は施文方向を変えて強調する。この時期の阿玉台式には各種器形に地文(縄文・櫛引文)を施すので,3つ目の一群はあえてとり分けなくてもいいのかも知れない。本類は器形・文様構成上で勝坂式の要素を含まない阿玉台式プロパーとも考えられるグループで,段階的には新しい時期に位置づけられよう。
第2類(58・77)
キャリパー状深鉢形で,口唇部を肥厚させ,この部分に文様を集約するもの。平担化した口唇を外傾させ,斜め上からの視線に合致するよう文様を構成する。77は蛇体装飾を思わせる鋸歯文を貼付,勝坂式の要素をもっている。本類の土器は類例稀少で阿玉台式の器形としては異例に属するものである。地文の縄文はベタ転しで,大木8a式の間隔をおいた施文とは技法的に異っている。
第3類(59・60・63・68・79)
キャタビラ文を伴う隆線で文様帯を区画するもの。79に代表されるキャリパー状深鉢形。地文にベタ転しの縄文を施す。勝坂式の要素をもつグループである。68は沈線文だけの施文で勝坂式の色彩が濃い。
第3類(29・64~67)
縄文を地文に施し,結節沈線で鋸歯文・区画文を描く。深鉢形。技法的には阿玉台式の流儀に従っているが,第1類の横帯区画文を主体とする定型的な文様構成とは異質である。阿玉台式の最末期的様相を示す土器ではないか。
第4類(54・55・62・80)
浅鉢。口頚部に隆線を貼って集約的に文様構成する。地文に縄文を施すものと,施さないものがある。62は勝坂式的要素をもつ。類例は少ない。浅鉢はもともと無文に近いものが多いので,寄生的な要素として現われる勝坂式の要素はより少ないのが自然なのかも知れない。