昭和51年

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 文献12.「湯坂遺跡」 渡辺龍瑞 栃木県史資料編考古1 栃木県 昭和51年3月
 内容は前出文献8とほぼ同様であるが,部分的に表記に違いがある。カッコが文献8。第4トレンチの項で
遺物として特記すべきものに,一種の推敲具といわれる凡字形石器(打製石器)や土器片少量を発見した。
 石器は,主としてチャートの無柄石鏃,変質粘板岩や安山岩の打製石斧,蛇紋岩や砂岩の磨製石斧,竪形石ヒ,砂岩や粘板岩の凡字形石器(一種の推敲具),打痕のある小形俸状石器,(略)
 文中で,凡字形石器の名称を明記して焦点を絞っている点が注意される。文献4以来,縄文中期に伴う石器とされながら発掘調査によって見つかったのは,この湯坂と上欠団地遺跡(宇都宮市上欠,昭和53年3~11日)外の数遺跡に過ぎず今後の例証が注目されている。
 以上,湯坂遺跡に係る主な県内の文献を上げて,土器・石器・土壙等についての研究経過を眺めてきた。正式報告書が公刊されていない,たかだか一週間程の小規模調査をした遺跡にしては少くない数量といえる。何故ならそれらの提示された問題が嚆矢となったばかりでなく内容的に重要で事後の類例遺跡研究にも関連する事柄であったからであろう。