二、黒羽町民憲章

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   黒羽町民憲章の制定(昭和五十四年六月二十一日 告示第四十四号)
黒羽町民憲章を次のとおり制定する。



   参考 制定の趣旨
 
 黒羽町民憲章は、わたくしたち町民が、美しく豊かな自然環境と、かおり高い歴史的、文化的環境により培われてきた風土と町民性を基盤として、地域社会を改めて見直し、その特性を生かしながら魅力的な黒羽町を築き、現代生活を快適にくらし、明日を開くために、最も大切と思われる目あてを定めその条件を示したものであります。
 よりよい町づくりは、わたくしたち一人ひとりが、町民である自覚と誇りを持ち、創造力とエネルギーを結集して、はじめてつくりあげられるものであります。この憲章では「わたくしたちは…………します。」とそれぞれの目あてに取り組む決意を強く表明しています。
 この憲章内容の領域は五つの箇条に分けて示してありますが、何れも町民誰もが実行できることを、起承転結に留意し、排列しました。どの箇条の文章もわかり易く表現し、ことばの流れを大切にし、読みやすく、実行の意欲が湧くように努めました。
 次に条章のなかで述べている内容が、どのような考え方で取り上げられたのか、また一つ一つの語句の持つ意味などについて少し摘記してみます。
 
一、わたくしたちは、みどり美しい町にします。
「山と川」この中には個性のある田園や町並みが含まれています。わたくしたちは自然の恵みに感謝し、山と川を愛してきましたが、愛することができれば、みどり美しい町にする意欲も湧き、それを実行することができます。
「愛」は「かわいがる、いとしく思う、いたわる」という意味をもっていますが、この愛の心は憲章全文に通ずるものであります。愛は町民の心であります。

 
一、わたくしたちは、社会に感謝し、すべての人に親切な町にします。
「社会」とは「共同生活を営む人間の集団」を指しますが「社会に感謝する」ということは、「社会のしくみの中で活動しているすべての人々に感謝する」という意味であります。
 さらにわたくしたちは歴史的人間であるという自覚に立って、先人の業績や文化遺産など、すべてのものに感謝することが大切であります。また自然界に生きる人間として自然の恩恵に感謝することは申すまでもありません。
 この憲章での「社会……。」という意味はこのように広義に解しています。人間として報恩感謝の心は大切なことであります。

 
一、わたくしたちは、心と体をきたえ、すこやかに生きる町にします。
 人間は心と体のつりあいを保っているとき、活力ある頭脳と健康が保たれます。わたくしたちは心と体を強く正しくきたえて、生涯をすこやかに生きぬく力を養うことが大切であります。すこやかに生きる力が生きがいと幸せとをもたらしてくれるからです。急激にうつり変る社会にあっては、心と体を強くすることが特に大切であります。
 恵まれない人には社会の支えが必要であります。一人ひとりがすこやかに生きられることが、活力ある黒羽町の源泉であります。

 
一、わたくしたちは、働くことを大切にし、豊かな住みよい町にします。
 豊かな生活は経済力に支えられます。特性が生かされ、調和のとれた生産を起すことが大切であります。わたくしたちは今まで汗を流し勤労することを大切にし、経済力を高めてきました。わたくしたちは働く意味を知り一層汗を流し、働くことを大切にしたいと思います。
 勤労を尊び、苦しみにうちかち、生産された物の価値をよく生かすことは大切なことであります。潤いとゆとりある、豊かな生活はそこから生まれてきます。

 
一、わたくしたちは、歴史を今に生かし、教育と文化のかおり高い町にします。
 この最後の条章は町づくりのめあて「教育と文化のかおり高い町」を示しています。わたくしたちが、生涯を託し、子々孫々までが魅力を持ち、いきがいと幸せをもたらすことができる格調高い町づくりをする姿勢がそこに示されています。「かおり」(におい、いろ、つや)は「黒羽の歴史を今に生かす」ことによって生まれてきます。
 この箇条は、美しい風土、豊かで個性のある歴史的、文化的環境を見直し、これを生かして、新しい町づくりへと足並み揃え進んでいく決意を示しています。
 歴史は今に生かさなければその価値はありません。歴史を学ぶ意味はそこにあります。歴史を生かす力は教育によって培われます。そして一人ひとりの創造力とエネルギーとが結集され、はじめて教育はその実を結び、かおり高い文化の町が築かれます。

 わたくしたちは、黒羽町民である自覚と誇りを持って、教育と文化のかおり高い町をつくるため、この憲章をかかげて進みます。この憲章はこのことを示しています。
(黒羽町広報「くろばね」による。)