(二) 八溝山地

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 八溝山地は栃木県と茨城県の県境を南北に走る低山性の山地である。この山地の北端は福島県白河市(しらかわし)の南にあり、北の八溝山から南の筑波山(つくばさん)(八七六メートル)まで全長約4kmの山地である。
 八溝山地はこれまで、秩父(ちちぶ)古生層とみられていたが、中生代説が定説となっている。堆積岩である砂岩・頁岩・礫岩・チャート等からできている。地層は西に20゜~25゜傾斜している。

西方から見た八溝
『栃木県新誌』(日本書院)
奥田久著による

 山地の東側には北部に大笹山(おおささやま)断層崖が急斜面を作り、中部では久慈川(くじがわ)の断層谷で、阿武隈(あぶくま)山地の南端にある久慈山脈と境している。西側は南に流れる那珂川の谷から益子(ましこ)・真壁(まかべ)(茨城県)と結ぶ線に沿う約六十kmの八溝山断層崖で鬼怒川(きぬがわ)地溝帯に終っている。
 八溝山地は四つの横谷で五つの山塊にわけられている。横谷は北から馬頭(ばとう)・大子(だいご)(茨城県)間の明神(みょうじん)峠(二一三メートル)、この南の鷲子(とりのこ)峠(二八七メートル)がある鞍部・茂木(もてぎ)・御前山(茨城県)間の境明神(二一三メートル)間の那珂川の横谷、水戸(みと)線の通る盆地列の谷である。
 五つの山塊は北から八溝山塊・鷲子(とりのこ)山塊・八里(やさと)山塊・筑波(つくば)山塊とよばれる。(栃木県新誌による)