八溝山塊は六〇〇~七〇〇メートルの高さで、中央に八溝山が聳え、栃木・茨城・福島県の境に広がっている。八溝山(一〇二二・二メートル)を主峯として鬼ヶ煩(八六九・八メートル)・大笹山(八七五・一メートル)・高笹山(九二一・五メートル)・大神宮山(七四六・二メートル)・天狗岩(五九二・四メートル)・見張山(六七九メートル)・花瓶(かびん)山(六八九メートル)・高戸山(五八一・三メートル)などの山々があり、三県に跨がって幡踞し、障壁をなしている。また西南の黒羽地内に萬蔵山(まんぞうさん)(四九一メートル)・御亭山(こてやさん)(五一二・九メートル)などがある。
八溝山は遠望すると円やかで女性的な山容をみせているが、山に踏みこむと谷は深い。
幾歳月の間、徐々に隆起するなかで、八溝山をめぐる那珂川・久慈川・阿武隈川などの諸川とその支流とが、「八溝山地を刻む主な河川」(略図参照)が、八溝山の山頂近くまで奥深く浸食を続けたからである。なお八溝の浸食谷のようすは、別葉の「八溝山地」(五万分の一地形図に陰影を施して作図したもの)に明らかである。山は高く谷は険しい。
八溝山地