この断面図Ⅱをみると、一際(ひときわ)高く聳える御亭山が目につく。標高五一二・九メートルである。断面図は山頂を少し下った所を横断する。高黒(大豆田)の方から見て御亭山が標高に比し高く見えるのは、那珂川の河岸段丘上から見上げるような位置にあるからである。恰も関東平野から見た筑波山のようである。
高黒(大豆田(おおまめだ))の集落が標高一五〇メートルの河岸段丘上に立地している。那珂川の河川敷が一四〇メートル、日暮峠北部の段丘上が一五〇~一六〇メートル程でかなり低い。
那珂川の沿岸に河岸段丘が発達しているが、広面積の段丘面を最大限に耕地に利用し、その東端に主幹道路を通じ、集落は御亭山地の西麓を削平した位置か、段丘崖近くに形成されている。地形と土地利用の姿を観察する上に恰好の地の一つであろう。同断面図の唐松峠(からまつとうげ)付近は標高三五〇メートルに達し、明神山付近が四二六メートル、県境の高戸山(五八一・三メートル)南麓で五二〇メートルとなっている。およそ御亭山位の標高の山である。(注、西那須野町役場付近二三九・四メートル)
須佐木・東沢の位置が標高二九〇メートル、柳田・瀬場(中学校のある位置)も同じ高さの位置にある。如来(須賀川)も同様である。しかしこれを、那珂川河岸の段丘上と比較すればその高度差は一四〇メートルに達し、かなりの高位置である。これを那須野ヶ原に比定してみるとどの辺りであろうか。
なお須佐木は四周が緑の美しい山に囲まれた平地である。こゝは須佐木平の名称が恰好であろう。