三 松葉川の河谷低地

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 松葉川は八溝山地西斜面にその源を発する。源流を本沢と称し、中の苗沢・不動沢・笹沢・台の沢・石倉沢・天狗沢などを呑み、大字両郷地内を流れ、河原で鍛治内(かじうち)川を合し、中野内を南流し、久野又で前松葉川と合流する。前松葉川はイヤイヤ沢と新田入沢を源流とし、ムツ沢・中沢・木佐美川・奈良土川等を合わせた川である。なおこの川の流域を前郷という。前松葉川を合流した松葉川は、久野又から高戸屋・大塩(おおしお)(北野上の北区地内)を経て、堀之内で野上川と合流し、黒羽田町と八塩地内で那珂川に注ぐ。松葉川の名は、前松葉川上流、入小滝付近の八溝山地の岩石は、松葉石と呼ばれる点紋粘板岩から成り、川原の石に松葉のような模様のある岩片が、浸食され運搬され、堆積しているからである。松葉石は八溝山塊西部に分布する花崗岩が周囲の堆積岩に熱変質を与え、粘板岩はホルンフェルス化し、点紋粘板岩に変質したものである。

松葉川