一 概要

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 黒羽町周辺の第三紀層および中生層は那珂川、余笹川(下流)をはさんで、変化している。
 中生層は八溝層群と呼ばれる地層で、硬砂岩、粘板岩およびチャート等の互層からなり、さらに、ほぼ南北方向に花こう岩の貫入がみられ、その接触部は変質し、ホルンフェルスになっている。
 花こう岩は両郷、河原に小露出し、大久保久野又のものは楕円形の小岩体をなしており唐松峠には狭長、亀久付近では南北八キロメートル、東西一キロメートル内外に達する岩体がみられる。

貫入花崗岩の風化(真砂(マサ))

 ホルンフェルスの代表的なものは紅柱石ホルンフェルスで、松の葉に類似しているところから、「松葉石」と呼ばれ、松葉川流域に広く分布している。中には長さ二センチメートル以上の紅柱石の大きな結晶もみられる。

紅柱石ホルンフェルス(俗称「松葉石」)
粘板岩等の堆積岩が花崗岩の貫入により熱変質してできたもの

 第三紀層は荒川層群と呼ばれる地層で、那珂川河岸では奥沢から下流に露出し、高岩にみられる凝灰質砂岩、角れき岩からなる地層は代表的なものである。
 余笹川では大戸付近の右岸に露出している。ここでは海棲化石が豊富で、地層には二枚貝腹足類、腕足類、サンゴ、サメの歯などを含んでいる。中でも、プレウロトマリア(長者貝)と呼ばれる貴重な化石も産出している。

プレウロトマリア(長者貝)の化石
第三紀層からの産出は珍らしく日本でも貴重な化石の一つである