二 黒羽地方に於ける特殊植物

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 前記の通り、黒羽地方の平均気温は一二・九度で、南方系の植物、北方系の植物が相当あり、特に次に記載した一二〇種の植物は当地方としては貴重なものであり、長く保護保存しておきたいものである。つまり、南方系の植物が黒羽地方に生育し、黒羽が北限と思われるもの。北方系の植物が当地方に繁茂するもの、すなわち南限植物。日本海・太平洋のそれぞれの地方の植物が当地方に生育することは珍らしいことであり、これらを日本海型太平洋型と言つている。
 次の植物には植物名・産地・南限・北限・太平洋型・日本海型等記載した。ただ生育地は二、三ケ所のみ記入したが他に生育場所のあるところもある。
(注)珍は栃木県でも珍しいと思われるもの、何も書いてないものは、黒羽地方で珍しく個体数も少ないものである。

ミズニラ(蜂巣) ウスヒメワラビ(如来林道。北限)べニシダ(大豆田・雲岩寺。北限) マメヅタ(雲岩寺。珍)クロベ(八溝山)イトトリゲモ(田中) ミズオオバコ(河原・富貴田) ウシクサ(八溝山。北限) ヒナザサ(青木・桜田。北限) ヒロハノドジヨウツナギ(寺宿。珍) ササクサ(雲岩寺・黒羽竜蓋山。珍。北限) アマナ(大輪・前田。珍) シマスズメノヒエ(雲岩寺。珍) シオバラザサ(尻高田。珍) ヒゲシバ(八溝山。北限) シラスゲ(八塩。珍)ノゲヌマスゲ(矢倉) タカネマスクサ(雲岩寺。珍) タヌキラン(大谷。北限) イトテンツキ(八塩・青木。北限) クロテンツキ(田町。太平洋型)サンカクイ(八溝山) ミミガタテンナンシヨウ(八溝山・木佐美) ザセンソウ(寺宿・北野上・蜂巣。南限) ヤブミヨウガ(大宿・大輪。北限) ウバユリ(大宿・桜田・北野上。北限)シヨウジヨウバカマ(青木・寺宿・蜂巣) ツルボ(川田・大輪。珍) エビネ(桜田・桧木沢・蜂巣) サイハイラン(青木・大輪) クマガイソウ(両郷地区) アツモリソウ(黒羽地区・両郷地区。珍) カキラン(川田・桜田・御亭山)シユンラン(青木・大塚。□□) ツチアケビ(須佐木。珍) オオミズトンボ(八溝山。南限) ミヤマウズラ(青木・桜田。珍) サギソウ(大谷・久野又下) ムヨウラン(大豆田。珍)クモキリソウ(北野上・余瀬) トキソウ(八溝山) カヤラン(青木・大塚・田中) ヒトリシズカ(寺宿・南方) ミヨウジンヤナギ(明神峠。珍)ネジバナ(向町・余瀬) クマシデ(寺宿) イヌシデ(寺宿) アカガシ(大豆田) ムカゴイラクサ(寺宿・八溝山。珍) ナンバンカラムシ(青木・川田・田町) ミヤマイラクサ(大輪・川田。日本海型) イラクサ(青木・大塚。珍) カツラ(八溝山。南限) サラシナシヨウマ(八溝山・入小滝・御亭山)フクジユソウ(大久保。珍) リユウキンカ(蜂巣。珍)セリバオオレン(青木・大久保・蜂巣) ヤマシヤクヤク(八溝山。珍)ケナシベニバナヤマシヤクヤク(木佐美。珍) トウゴクサバノオ(上南方・南方) イカリソウ(青木・大久保) コウモリカズラ(前田。珍)ダンコウバイ(雲岩寺。北限) シロダモ(青木・久野又下。北限) ジロボインゴサク(中山・須佐木) ナガミノツルキケマン(如来・雲岩寺) ヤマブキソウ(入小滝・八溝山) アカシヨウマ(入小滝・御亭山。太平洋型) トリアシシヨウマ(入小滝・御亭山。日本海型)ハナネコノメ(八溝山。北限) コアジサイ(木佐美・北野上。北限) ヤシヤビシヤク(須賀川・八溝山。珍) ダイモンジソウ(八溝山) ザイフリボク(青木・大塚) ネムノキ(青木・大塚。北限) クサイチゴ(大輪・須佐木) ナンキンナナカマド(須賀川。北限) ケヤブハギ(川田。珍) クサフジ(大豆田・矢倉。珍) カラスサンシヨウ(須賀川。珍) ミヤマシキミ(雲岩寺。珍) センダイダイゲキ(八溝山・隔離分布。珍) ナツトウダイ(青木・大塚。珍) オオツルウメモドキ(上南方・雲岩寺。北限) ゴンズイ(雲岩寺・北野上。北限) アサノハカエデ(寺宿・八溝山。北限)ナツツバキ(寺宿・鍛治内)イイギリ(尻高田・八溝山。珍)ヤマブドウ(青木・桜田。南限) マキノスミレ(尻高田・寺宿) オオチドメ(青木・中山) ムラサキヤシオツツジ(桜田・寺宿。日本海型)トウゴクミツバツツジ(八溝山・入小滝。太平洋型) イワウチワ(青木・寺宿)ミヤマタゴボウ(雲岩寺。珍) クサレダマ(大塚・御亭山。太平洋型)トネリコ(桧木沢・青木) ヒメナイ(大谷。珍)イヌセンブリ(大谷。珍) コムラサキ(蜂巣) ミズネコノオ(蜂巣。北限。珍) フトボナギナタコウジユ(雲岩寺) ハダカホホズキ(雲岩寺。珍) キクモ(河原。珍) ミミカキグサ(大谷。珍) タヌキモ(田中・向町。珍)ホザキノミミカキグサ(大谷。珍) ムラサキミミカキグサ(八溝山。珍) ハシカグサ(八溝山・桜田・飯岡。珍)オオツクバネウツギ(雲岩寺。北限) ヤマウグイスカグラ(八溝山。珍) コバノガマズミ(雲岩寺。珍) ニシキウツギ(入小滝・八溝山。太平洋型) レンプクソウ(如来林道) スズメウリ(青木。北限) フクシマシヤジン(寒井・隔離分布) タマブキ(如来・雲岩寺。南限) ヒメガンクビソウ(雲岩寺。珍) オオバコウモリ(ヨブスマソウ)八溝山。珍) アズマヤマアザミ(雲岩寺。北限) オヤリハグマ(八溝山・御亭山。北限) クルマバハグマ(入小滝・御亭山。日本海型) カシワバハグマ(桜田・御亭山。大平洋型) ヤブレガサ(青木・御亭山) シユウブンソウ(雲岩寺。北限。珍) センダイハグマ(八溝山。南限)

ケナシベニバナ
ヤマシャクヤク


タヌキマメ
昭和41年9月4日天皇陛下が植物採集に行幸された際は生育していたが現在は見当らない。那須地方にも少なく滅び行く植物の一つである。

 動物と植物を書くに当たり、鳥類については黒羽田町鈴木獣医、植物については蜂巣小学校加藤仁先生、須賀川の菊池寿人氏、同好の士中野内の佐藤正喜氏の御協力を頂き感謝する。