黒羽は関東平野の北部、那珂川(なかがわ)、久慈川上流の山間地帯にあって、那須国(なすのくに)→下野国(しもつけのくに)那須郡に属していた。この地方は古来常陸(ひたち)、南奥と下野との境域にあり、文化、交通、軍事上の要衝の地であった。また地形も山地、丘陵性の台地、扇状地、河岸段丘上の平地、山間(やまあい)の低地をなし変化に富み、気候的にも比較的恵まれている地方の一つである。
県内には縄文中期の遺跡が多いが黒羽町内もその例外ではない。築地・鉢木(土師器遺跡と重複)・浅香内・長谷田・不動院裏遺跡などがある。学術的調査により、住居跡が確認され、袋状土坑から多くの完型土器などが出土している。(注、口絵の土器は浅香内遺跡の出土品である。)
なお黒羽町の近傍には湯坂・槻沢・岩船台・長者平遺跡などがみられる。
黒羽町の弥生時代の土器は個片が発見されている程度である。