(1)大宮伝

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黒羽の高尾森に鎮座している『大宮(おおみや)社』(中野内・温泉神社)の奉斎神は、社伝によると第一璽 大己貴命、第二璽 天照大神、第三璽、素戔島尊、第四璽、田心姫尊・湍津姫尊・市杵姫尊、第五璽、豊城入彦命の御璽五合祭七座一床である。
 『創垂可継』(「三社礼式=大宮社伝」大関増業編)の『社伝』によると、「同社摂座の諸神は高尾の諸山に降臨出現し給い。後の崇神天皇の御宇に現社にましますという。
 景行天皇の御宇鎮座し、天武天皇の御宇官幣になり、承和年中従五位下、貞観初年従五位上、貞観中年頃従四位上の勲位を賜ったという。寛永年中御再興、大関氏尊崇、天正五年安碩高増、神田寄進、云々」とある。
 『大宮社』は、現在地に奉斎される前は、大輪に安置されていたと伝えている。
 社伝に、『高尾山大三輪の森』について左の記事がある。
 「四方の国々にても神祇を崇って、大己貴神に山川の神霊を合せ祭る事なり。当国の人民は前帝功業に感伏し、この大神の御心の幸魂奇魂の出現まし教え給いて、三諸山に住めとの御約によりて高尾山を三諸山と改めて尊び奉る。これ三輪の大神なるより大三輪山とも号し奉り恵を祈りける。故に村の名を大輪という。今に大輪村という。大三輪の中略にて中古勅ありて、郡村の名二字に限るべしとあり、これより大三輪の村名を大輪のみ号す、また三輪の高尾の峯という。また高尾の森ともいう。高尾山大三輪の森とも号しけるなり。
 三諸山に大国主の幸魂可魂のすむべきのこと日本記・旧事記等に拝すなり、これを略す。」