中世における那須郡の歴史は、この地方を長く支配していた那須氏の歴史でもある。従って本章では、那須氏の興りとその消長の跡を尋ねて、那須郡の歴史の流れを見、更に黒羽地方の支配者大関氏の出自とその発展の姿から、黒羽の歴史を明らかにしていきたい。
文化の面では、武将たちの庇護の下に、法灯を灯し神灯を掲げた寺院・神社に関係ある人びとの手によって、僅かに伝えられてきたから、主として宗教文化を取り扱うことになろう。
経済面や民衆の生活面に関する当時の資料は、ほとんど見られないので、これらに就いて記述できないのは止むを得なかった。当時の記録、史料等の発掘を後日に期待したい。