五、室町時代における那須氏

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 将軍足利義満の執政時代になって、天下の情勢はようやく安定の方向に進んでいった。そうして、明徳三年(一三九二)閏十月、「南北合体、一天平安」の実現をみて、五十七年という半世紀余りに及ぶ、南北両朝の分裂の時代は終った。
 幕府の権力は強化されてきたとはいえ、依然として有力守護たちの反乱の危険を内蔵していた。また足利氏は幕府創設の当初から内紛があり、有力守護層の対立抗争にも影響を及ぼしていた。これらのことは、足利氏および足利幕府の宿命のようにさえ思われるのである。
 いわゆる室町時代になって、その初期一時安定かに見えたが、東国の動乱、土一揆の蜂起、応仁・文明の乱を経て、下剋上の争乱の中に突入する。そうして戦国の世の出現となるわけである。
 このような乱世にあって、那須氏およびそれとかかわりのある武将たちは、どのような道を歩んでいったのであろうか。その足跡をたどってみよう。