名主は、一村一名であるが、相給の場合には領主毎に置かれた。職務としては、微税・人別帳・村取締・御立山保護や婚姻・葬式・売買契約・相互扶助等の村務一切である。家格による世襲制で、名前・家名も世襲である。領主に対する業績、例えば御用金・借用金・献納金等によって、苗字御免である。また、長屋門を許されることもある。更に、永代か代を限って帯刀佩用・上下着用も許されている者が多い。名主は役米が支給されたり、年貢減免・諸役御免の特権が付与されている。割元名主とは、数か村を束ね支配する大名主をいう。
組頭は、名主の名を受けて、名主と百姓との間の事柄を司る。役米支給等名主と同じ扱いを受ける。
百姓代は、長百姓の中から選ばれ、名主・組頭・組を監視する役目であり、先祖代々村に居住する資産家が任ぜられる。年貢割付や納入の立合ったり、村費使途の監視に当ったりする。また、五人組に関する事務も取扱った。
黒羽藩領内の名主始め百姓町人の家格や由緒を調べ書き上げた文書、『嘉永五子年十一月改 在町家格調帳写 御代官役』(余瀬蓮実彊所蔵文書)残っているが、多くの者が業績を認められて、名主のところで述べたような褒賞を得て家格としている。次に褒賞の一例をあげる。
須賀川 名主
佐野右衛門江
申渡覚
其方儀七十余迄名主役実意ニ相勤且去ル申年凶作之砌組下貧民凌方手段行届候段奇特之至ニ候依之他出之節帯刀永く御免申付者也
亥 正月
佐野右衛門江
申渡覚
其方儀七十余迄名主役実意ニ相勤且去ル申年凶作之砌組下貧民凌方手段行届候段奇特之至ニ候依之他出之節帯刀永く御免申付者也
亥 正月
(須賀川 川嶋式右衛門家文書)
褒賞「申渡覚」(川嶋式右衛門家文書)