1 序

422 ~ 423
近世における輸送手段として、河川が内陸水路として利用され、船荷を輸送する業者として、河岸(かし)の船問屋などがあった。
 黒羽(くろばね)地方に、黒羽と矢倉(やぐら)に河岸があり、直接太平洋に注ぐ那珂川(なかがわ)水系に属したが、江戸方面に輸送する物資は、一部陸路を馬背で運び、さらに利根川(とねがわ)舟運へと継送された。
 なお黒羽藩御用の荷蔵は鬼怒川水系の柳林と久保田河岸(茨城県)に置かれた。
 本稿では、近世における黒羽地方の河岸を中心として、河岸の開設・船問屋・川船・輸送物資・輸送経路等の概要を誌し、舟運が果たした役割等について述べてみる。

近世の主な街道と河岸の図