問屋(とんや)は「といや」ともいう。江戸時代の卸(おろし)売り業者のことである。中世には問(とい)・問丸(といまる)・津屋などと言ったという。
問丸というのは交通上の要地である港湾などで倉庫業とか舟人宿とか商業などを営んでいた者であり、津屋(つや)は、平安時代のころ河川の津港に設けられ、貨物の保管や販売にあたり、口銭をとった家のことである。近世における河岸問屋のようなものである。近世における問屋は河岸場とか街道筋に置かれ、荷主から委託された貨物を手数料をとって仲買人に売り捌(さば)いたり、荷主から貨物を買取って仲買人に売り捌いたりした。
問屋は近世における商品流通機構の中核となり、次第に前貸し制をとって生産者をも支配するようになったという。(日本史用語辞典による)