5 格天井

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翌五年の秋、講堂に格天井を張り、教官始め学生二十三名が詩を作って、銘々自書した。中央には創立者旧藩主増式が、「麟」次は「鳳」「竜」と大書したのを掲げ、これを囲んではめた。現に黒羽小学校の会議室の天井に残してある。左にその二・三を記しておく。
 明治壬申(五年)秋、造天井於講堂、使寄書生徒二十三名、各書一詩、予与五六同僚亦聊録盛事
          地山 三田称平
道有窮通終不己 天将文運付吾曹
六経四十三万字 繙尽講堂白日高
  録旧詩    北獄  三田恒(教官)
郡県論興尹世臣 男児立志在斯辰
紫朱必竟非他物 都属書画俯首人
  冬夜読書       秋元長久
読書有真味 今古友英雄
渉猟三千載 玄冬窓雪中
  同      二七童 相山昭義
開書夜々不成眠 映雪潜心到暁天
思得蘇秦勤学事 帰家何厭困無銭
  同          猪俣定重
欲求尚友掲書帷 孤坐不眠吟旧詩
凛々厳風吹雪急 憶得孫康苦学時
  同         大原直一
学生寒夜坐灯前 読尽案頭書幾篇
努力留神猶末寝 暁風吹徹五更天
  同          村田由淳
作新館裏夜三更 寒月如霜照窓明
南北寮中人不寝 灯前只有読書声

格天井
(黒羽小学校会議室)