2 教授法

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教授の際は、師匠の前に二、三の者を机の前に正座させ、師匠は反対のところから字指棒(長さ七・八寸位)で字を指して範読すること数回、初めは二・三行位ずつ教える。弟子はそれから自分の机に返って朗々と高声で反覆練習をする。師匠の前には次々と指導を受ける者が罷り出て行く。正座することが相当の苦労であった。一人ずつ個別にするか、前述の分団的にするかは、筆子の数とか教師の態度如何にあったろう。筆子の学習態度が進むと二・三行が五・六行となり、半枚となり、また一枚となる。大方一枚位が限度であったろう。個別教授か分団教授で、すべてが暗記で全く機械的であった。反覆練習を必要として、これを課した。筆子の多いところでは、師匠一人では手がまわりかねるから、助教とか代教とかが必要となってくる。古参者なり、成績優秀者が師匠の代理を務めてその任に当るのである。夫人がこれにあたったものもある。おさらいをする時、忘れたところは同僚に糾すか、長者の教えを仰ぐかする。明治二十五・六年頃までは地方の学校は、この寺子屋風で行なわれた。