7 再度の経費増額願上申

498 ~ 500
先に明治五年(一八七二)七月、館費の支出増加を願い出たが、そののち年を追って費用が増加するので、同九年十月、校長小山忠録は館の維持費支出額と入費の総額とを明細に記して、不足金三百三円七十九銭となるから、年々三百円を補助してほしいと、家扶宛に願い出た。これは幸に聞き届けられた。左に上申書を掲げる。
   学資不足分御下附上申書
 今般禄制御発行ニ付、学資禄券ノ利子並是迄有余金ノ利子及授業料ヲ合算シ 特別釐(リ)正ヲ行ヒ、出納ヲ調査仕候ニ、年々三百円余之不足相生シ候間、昔年起立アラセラレシ御盛志ノ在ル所ニ基キ、学資禄券正金ト交換之際迄、明治十一年ヨリ年々三百円也御下附相成度、因テ資金ノ現在スル所ト、年々出費スル所ヲ掲載仕候条御採用相成候様御進達有之度此段奉上申候           以上
 附タリ 禄券正金ト交換之上貸出方法卒爾ノ草案ニハ御座候エトモ、御参考ノ為相仕候
     明治九年(一八七六)十月
                       小山忠録
  御家令御中
   第一款  資本之額
  一、金百六十五円四十三銭
   右ハ明治七年(一八七四)分残
  一、金廿九円拾一銭七厘
   右ハ同士族拾五名ヨリ寄附米代(米ハ九石九斗)
  一、金百三円廿九銭
   右ハ八年分残
  一、百五十円
   右ハ九年経費中残ルベキ金
  一、凡金五百六十円
右ハ正則開業(明治七年七月)己前残金ノ臆算ナレバ清算ヲ仰キ候也

   、金四千六百円五十五銭一厘
   右ハ禄券(賞典禄にて、今日の公債証書に当る)
  計金五千六百八円四十八銭八厘
   第二款 利子之額及授業料
  一、金二百卅円二銭八厘
   右ハ禄券金四千六百円五十五銭一厘ノ利子
  一、金百五十一円十九銭五毛
   右ハ正金子七百円九十三銭七厘ノ利子
     (年一割五分ノ割)
  一、金廿一円六十銭
   右ハ授業料一名ニ付、一ケ月金壱銭ノ割 生員先百八十名ト概算ス
(備考)私立小学校認可願には授業料の収入のことが記してないが、八年から徴集したものと思われる。

  計金四百二円八十一銭八厘五毛
   第三款 出資之額
  一、金百円        諸費
  一、金廿円        営繕費
  一、金卅八円六銭     校掌一人、役夫二人移住費
  一、金五百四十八円五十五銭四厘八毛 俸給
     内訳
  一、金卅九円五十三銭四厘      月俸三円廿九銭四厘五毛
                    総括一人
  一、金百八円            月俸九円 正則訓導一人
  一、金四十九円十二銭八毛
      月俸四円十一銭八厘四毛     変則教師   一人
  一、金五十一円六十銭
           月俸四円卅銭     一級訓導補  一人
  一、九十六円 月俸一名ニ付四円     二級訓導   二人
  一、金卅六円 月俸一名ニ付三円     正変則掌   一人
  一、金八十四円
     月俸一名ニ付三円五十銭      三級訓導補  二人
  一、金六十円月俸一名ニ付一円廿五銭   舎長     四人
  一、金十円 月俸八十三銭三厘三毛    変則補助   一人
  一、金十四円 月俸五十八銭三厘三毛   役夫     二人
  計金七百六円六十一銭四厘八毛
     差引
  不足金三百三円七十九銭六厘三毛
 右の願は、同九年十二月二十日附をもって許可され、三カ月分ずつ取りまとめて、十二月、三月、六月、九月の四回に渡されることになった。