9 授業料の徴収

500 ~ 501
作新館は創立以来、藩費を以て経営していたので、生徒から授業料を徴収しなかったが、前記のように、経費難となってきたから、授業料を同十年一月から徴収することとなり月謝金収受規則を作った。その前書きを記してみる。
  月謝金収受規則
 夫レ一個ノ物品モ、之ヲ商肆ニ得レバ、則易フルニ代価ヲ以テス。マシテ固有ノ分ヲ保存シ永遠ノ幸福ヲ予定スルノ教育ニ於テヲヤ。又之ガ費用ヲ供スル当然ノ理、是即チ月謝金収受ノ設アル所以ナリ。我校百五十石(賞典禄中より大関家の寄附)ノ資本アリ教員ノ俸給較々足レリ。是ヲ以テ月謝金収受ヲ廃シタリ。而シテ来ル十年ヨリ、禄券ノ制行ハル。故ニ出費ノ額ト利子ノ額トヲ算スルニ、許多ノ不足ヲ生ズ。因テ月謝金収受ノ法ヲ設クル左ノ如シ。と前置きして、正則すなわち小学科及び変則すなわち支那学科(漢文)の生徒を通じて、毎日金壱銭を当月三十日に校掌(庶務会計係)に差し出すこととし、貧困者と全月欠席者とには、免除することを規定している。