(2)烏薪料寄附願

504 ~ 504
閣下 前ニ巨大ノ学資ヲ捐(すて)ラレ、五村ノ子弟ヲ陶冶ス。五村子弟ノ幸福豈ニ啻ナラズ哉。然リ而シテ上下皆節減主義ニヨリ事ヲナスモノノ如シ。故ニ該校ノ支出モ亦節減シ、生徒煖ヲ取ルノ設ヲ廃セラレタルハ、固ヨリ其所也。是ヲ以テ有志者此ニ見アリ、若干ノ烏薪料ヲ寄附ス。其挙実ニ賞賛スベシ、因テ私共熟々(つらつら)考フルニ、学ハ三冬ニ在リトノ古訓ニ因スルニモセヨ、日中硯池凍合、身体意ノ如クナラズト云場合ニ至リテハ、コレガタメ精神凝固、智モ亦幾分カ発達ヲ遮ラレ、且幾分カ健康ヲ害セン歟ト被存候。コレニ因テ私共有志ト謀リ烏薪料トシテ金一円宛寄附、九牛の一毛ヲ表シ度、右情況御亮察之上御採用被成下度 此段上願仕候也。
 此の願書に対して、左の朱書がしてある。
 書面之趣、聞届候条、金円ハ作新館エ相納可申候事。
  明治十四年四月十一日