庫裡

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庫裡は玄関及び廊下に接続して本堂の北側に建ち、部屋数は平家部十間、二階一間で、建坪は延一〇三坪四四である。二階は特に御物見風に作られている。台所は北東側にあり、土間は広く、湯殿はこの土間の一隅にとってある。台所の前に玄関土間を設け廻廊と接している。又廻廊は入側の廊下で接続し、東西に長く三列に部屋をとり、西北の隅に便所を設け、縁側を曲手に廻して各部屋及び勝手その他への出入りに便なる様間取りされている。
 座敷間仕切は襖を用い、天井は竿縁天井である。最も奥に領主の間を設け、床及び棚、書院をつけ、その造作意匠は簡素であるが、いかにも禅宗風の味を出していて、特に上段の間として框を一段高くあげず、全部の座敷を平らにする等、領主大関公の民主的な風格が偲ばれる。