2 雲巌寺の景観

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「山はおくあるけしきにて、谷道遥に、松杉黒く、苔したゞりて、卯月の天、今猶寒し。十景尽る所、橋をわたって山門に入」と、本文では雲巌寺の景観について述べている。
 この「十景」や「橋」などのことは、曽良の『俳諧書留』にも記されている。
 雲岩寺十景
海岩閣(足利尊氏造営、秀吉の兵火に焼失)
竹林 (竹林塔)
十梅林
龍雲洞
玉几峯
鉢盂峯(鉄蓋峯)
水分石
千丈岩
飛雪亭
玲瓏岩(玲鏡岩)

 五橋
独木橋
瑞雲橋
瓜〓橋
涅槃橋
梅船橋

 三井
神龍池
都寺泉(頭寺泉)
岩虎井(嶺虎井)

 四月五日、奈須雲岩寺ニ詣て仏頂和尚旧庵を尋。
 木啄も庵は破らず夏木立   翁
 翁に供せられて、雲岩寺遊ぶ。茂りたる山の入口より清冷たる川ニ遊びて、三町斗歩て山門ニ至ル。鉢盂峯、龍雲洞、千丈、玲瓏ノ岩、五橋、三井、総而かんのうごかざる〈感応動かざる〉所なし。
 物いハで〈言はで〉石にゐる間や夏の勤〈げのつとめ〉