①年中行事

576 ~ 580
 (月日)    (鎮国社)
正月元日    辰之刻奉神供榊
        奉幣帛    毎座
        御鏡餅    四重
        神酒 瓶子  一対
        打鮑 七ツ勝栗五ツ昆布三切
        洗米 大豆 麦 栗 赤小豆 勝魚節 二切
        右三方ニ盛
中臣之抜を唱武運長久国土安全諸民和楽為起念拍手打今日領主社参有之其時神主三種之抜を唱幣を奉領主領主左右江三度払神拝〓高神前之五穀を拝戴十神酒頂戴〓(おわ)る神主退

  二日    供神酒
  三日    
  七日    七種之菜亦神酒を供
薺(ナツナ) 〓簍(ハコベ) 芹(セリ) 菁(アオナ) 御形(ゴギョウ) 須々之呂(ススシロ) 仏座(ホトケノザ)

  卯之日   献卯杖
  十五日   神酒 瓶子一対 洗米 三方
        供打鮑七ツ 勝栗五ツ 昆布三切
             右三種三方ニ盛
二月朔日    供神酒 洗米
  十日    御影祭
        初献三方
        饌 虎杖之芽 時之花 海草
          水草 小海老 田作 塩
             右各土器盛
        二献三方
          打鮑七 勝栗五 昆布三
              右三種各土器盛
        三献三方
           神酒瓶子一対 土器
       一、前日追鳥、猟獲之雉を社頭江献ス
         祭日ニハ三方ニ載神前江備
一、祭日祭礼奉行として家老一人・中老壱人・用人壱人・大目付一人・寺社役壱人・台所奉行一人・作事奉行壱人相誥る

物頭壱人組足軽一五人鉄砲を拝持社頭を警衛す、徒目付弐人為警固誥る

         右之面々当月朔日従家老致指図置候事
       一、祭礼当日之式
朝歩射礼、昼後舞楽又ハ朝流鏑馬之礼を行う。時ニハ歩射礼を止む。流鏑馬射手六人或ハ三人、矢数壱人六本、的二所ニ置て、馬を神前方江三度馳

卯之刻神主亦祭礼掛り役之面々社頭へ相誥奏楽三度ニて乱声を奏し開神扉中臣之抜を唱次ニ奉幣帛次ニ奏旨楽奉神供神酒右〓る、射礼の事

射手六人、介添を召連本城にて射礼之服を着、弓場ニ付行列発重々社地江至リ拝殿ニ上リ 介添ハ社殿之外ニ控小者ハ鳥居之外ニ控 射手拝殿ニ揃を見て神主神前ニ至リ祝詞を読〓る。射手之面々神酒拝戴直ニ至弓場射礼修行、始礼法三度弓又ハ五度弓射〓(おわり)本城ニ帰ル

尤初度之弓之間音楽を奏し射礼〓射手帰時又音楽を奏し神主神前ニ至リ神供奉幣を下神扉を閉祭礼〓る。後十日之内為領内安全祈祷之御守札を神主献、領主虎杖之芽を紙に封じ、家中町在之員数を計り、家老役江出し従家老役向江相渡配当之事

一、奏楽之度亦役人出席之小屋者陣小屋を用当月朔日従家老武具願江及沙汰作事奉行前日社地江組立

         尤祭礼之式者用人大目付万事重ニ可仕事
一、祭礼当日領主直参之事、領主故障有之節者家老名代ニ勤事。

  十五日   神供朔日之通
        総而年中朔座之神供同断下略
三月三日    供草餅 桃花之神酒 蕨薇
四月      供麦穂三方ニ盛
五月五日    〓菖蒲之神酒 年魚 筍 著蕷 を献す。
        田植〓(おわり)日 献早苗
六月      献氷室餅 瓜
  晦日    生茅之輪 麻之葉 串一六本 神酒
七月七日    神酒 桃之実を献
       一、献生姜
八月朔日    黍 神酒 蘿蔔 柿 芋 梨を献ス
       一、初鮭を献ず
九月九日   供赤小豆 栗 菊之神酒
       一、新穀出来次第領主より初納之小俵を献備
  十五日  祭礼虎杖之祭之事
         歩射礼亦騎射舞楽等之式御影祭ニ同し
       初献三方
        饌土器ニ盛 生姜 大根 午房
                 三種土器ニ盛
        芋 胡蘿蔔 二種土器ニ盛
        スルメ 芹 二種土器ニ盛
鮑 [土器ニ盛祖貝之中ニ玉抜之干貝を盛なり] サヽイ [土器ニ盛但貝ノ中ニ数之子をもる]

        堅塩土器ニ盛 勝魚節 海草 二種土器ニ盛
       二献 三方
        抜穂 二本土器ニ盛 栗柿梨栢 [右四品各列ニ土器ニ盛て]
        クワイ、廉尾菜(アラメ) 二種土器ニ盛
        梅干 橘皮 二種土器盛
       三献 三方
        打鮑 勝栗 昆布 各土器ニ盛
       四献 三方
        雉子雌雄但尾羽其侭置也
       五献 三方
        神酒 瓶子一対 土器
        右何レもか敷虎杖之花葉共ニ用
一、前日祭礼奉行人数御影祭之通社頭江幕を為打場所を出来早朝玉垣之中具足四十領弓二十靭二十腰半月之旗五平弓二十張貝・太鼓・楯各左右餝玉垣之外鉄炮四十挺玉箱長柄三十本、玉垣之前之左右幕之中ニ立足軽二十人陣笠羽織ニて鉄炮長柄之傍ニ間配固神殿之前ニ四神之旗を立鳥居中より左右幟を立奏楽之度にて乱声を吹神扉を宮司開稽首再拝而

柏子二ツ太玉串の行事、次ニ抜之事次ニ拍手二ツ奏楽を始時社人一人大麻を取て神前の御膳を払社人神供所よりふくめんにて各運贈也。神前ニて御膳之中を取て両宮司従宮司取て御扉前ニて御斎追を唱直ニ奉る。尤神主各虎掌之葉を烏帽子ニ指温泉八幡之神前江洗米三種之肴神酒一対宛其御膳を献る。両宮司ニて左右/\と献なり。〓る階下之位板に帰、両宮司並社人両如再拝之後も平手を打て奉幣四串

        [紙よりニて一ツニ結合調進] 尤神供中音楽を奏事。
一、領主社参階上ニ上リ着座拝礼之時両宮司之中一人者祝詞て座之中央に進座す。一人者祝詞を渡役なり。祝詞を唱宮司祝詞を読取笏ニ添て拝礼之後読其時本城より射手射礼の装束して社地に至り、社殿ニ拝礼して、弓場ニ付五番之五度弓を始る時奏楽を奏し射礼〓る。射手退散之後奏楽を奏志神供を下各直会あるなり。

       一、夕而饌音楽を奏し御饌を献備す朝之通、神供之品左之通
        初献 三方
白米[土器] 忍水[土器] 醴[土器] 海目[土器] 鮎[土器] 海苔 海藻 [二種土器盛] 生姜 梅干 [二種土器ニ盛] 塩[土器]

        二献 三方
大豆、小豆 [二種土器] 芋[土器] 〓土器 鳥 田作[二種土器] 小鯛[土器] 栗 稗 [二種土器] 蛤[土器] 塩[土器]

        三献 三方
         栗 熨斗 昆布各土器 柿 梨 栗 大麦 柏バミ 瓜
右三献を奉事如朝之式三種之抜を唱次に拍手二ツ昼後於社地に射礼修行〓る。乱声ニて神扉を開宮司自分〓之行有社人皆平伏之事。此式〓て宮司閉扉之行有

一、摂社熊野山社〓日一社其外之祠之所之神事ニハ柏之葉ニて奉るなり農飯之行事有

一、祭礼式〓至夕陽武器等之鉾を納め出席之役人並宮司並社人等社地退散事

十月      供松茸
十二月晦日   晦日神酒 洗米を備
          右年中行事終
        右之外総而初物を献備す
           以上  (『創垂可継』「(三社礼式)」による)

鎮国社参道