次に年中執行の寺法を摘記する。
(期日) (ことがら)
正月朔日 仏殿に於きて、供物(くもつ)を備へ、『絵馬心経』を懸け、天暁に祝聖法会(しゅくしんほうえ)、辰之刻に『大般若経』転読、日中 懺(せん)法修行。三ケ日 同法、二日に疏銘(しよめい)を取る。法儀 三日満散、『絵馬心経』と疏章等 火灰し了りて、『首楞厳神咒(しゆりようごんしんしゆう)』をば一座回向(えこう)す。此れは帝道の平均・武運の延久・天下国家の無難無魔、並びに仏法無障碍(むしようげ)の修法なり。
二月五日 聖徳太子涅槃会(ねはんえ)の法事。
十四日 仏涅槃会、法儀品多し。
十五日
三月三日 仏殿・三仏堂にて通諷経(つうふぎん)す。
四月八日 潅仏会(かんぶつえ)、法儀品多し。
十四日 土地(つち)堂にて念誦(ねんず)法儀。
五月五日 仏殿・三仏塔にて通諷経す。
十日 雪心首座(しゆそ)忌の法事。
六月三日 初叟(しよそう)忌の法事。
七月朔日 盂蘭盆会(うらぼんえ)の法事。
七日 仏殿・開山塔にて通諷経す。
十四日 仏殿・開山塔にて通諷経し、水陸斉会(さいえ)あり、晩に及びて、土地堂の念諷儀。
十五日 仏殿・開山塔・三門羅漢(らかん)の供養 諷経、日中に大施餓鬼(せがき)法事、晩に及びて大檀越(だんのつ)の先霊、並びに那須の先霊、総(そう)じて七騎等の先霊への供養 諷経。
九月三日 仏光忌の法会(ほうえ)。
九日 仏殿・開山堂に通諷経す。
二十四日 仏応忌の法事。
十月五日 達磨(だるま)忌の法会、儀品多し。
二十日 仏国忌の法事。
十一月冬至の日 土地堂にて念誦。
二十五日 帝師涅槃会。
二十七日 勝願忌の法事。
(注)此の月朔日(さくじつ)より身口意(しんくい)の三業(さんごう)能く慎み法身(ほつしん)堅固をば祈る可(べ)しと云ふ事を、行者(あんじや) 寺中・門前に触れ巡るなり。
十二月朔日 本日より放参夜坐、
八日 仏成道(ぶつじようどう)忌法会。
晦日(つごもり) 歳末満散の法会、法儀品多し。
(注)毎月の旦望(たんもう)、祝聖(しゆくしん)法会。同じく十八日、閣の懺法、是れは十境(けい)の一つ海岸閣なる観音薩〓の宝前にて執行、彼の閣 破滅の後、近年は三門に於きて執行、是れは天下安全・国家平均の法祈なり。
毎月十四日、七社の諷経回向(えこう)。
毎月旦望、仏殿に於きて最明寺殿・大休寺殿・長寿寺殿に諷経回向す。
毎月十七日・二十日・二十四日、東照権現様・台徳院殿・大猷(たいゆう)院殿の御牌前にて風諷 回向。
毎月旦望・三仏の忌日、本明性明比丘尼(ほんみようしようみようびくに)の為に諷経回向。
毎月四日、大虫禅師に供養諷経。同じく十二日、関山(かいざん)国師、桃隠(とういん)玄朔禅師に供養諷経す。古来より是(か)くの如く勤行の事。
毎月旦望、仏殿に於きて最明寺殿・大休寺殿・長寿寺殿に諷経回向す。
毎月十七日・二十日・二十四日、東照権現様・台徳院殿・大猷(たいゆう)院殿の御牌前にて風諷 回向。
毎月旦望・三仏の忌日、本明性明比丘尼(ほんみようしようみようびくに)の為に諷経回向。
毎月四日、大虫禅師に供養諷経。同じく十二日、関山(かいざん)国師、桃隠(とういん)玄朔禅師に供養諷経す。古来より是(か)くの如く勤行の事。