関係町村相互間の協議の状況

626 ~ 629
昭和二十八年十一月二十四日、前述の如く、那須郡内の町村長並びに町村議会議長を委員として、那須郡町村合併促進審議会を結成して、合併に関して郡民への啓蒙、或は合併計画の策定時にあたった。然し、この時点に於ては県試案は公表されていなかった。
 昭和二十九年一月、黒羽町役場に黒羽町、川西町、両郷町、須賀村川村、湯津上村の町村長、議会議長が集合して、郡試案について審議され、一同賛意を表した。
 昭和二十九年六月十五日、黒羽町役場に於て各町村が集合し、各町村十名の委員よりなる合併審議会が発足した。
 然し、同年二月公表された県試案の中に、湯津上村は小川町と合併するように計画ができていたために、村内の意見は、黒羽、大田原、小川へと三分した。そのために、六月十五日の会議には正式委員を送らず、会議オブザーバーの形で出席した。
 当日の会議には、郡試案による二町三ヶ村合併を決議すべしの意見も出たが、湯津上村が協議に加わらないために、協議会は任意のものとして次の事項を申し合せた。
 一 湯津上村の事情により各町村委員を十四名とすること。
 二 湯津上村へ本協議会代表を派遣すること。
 三 湯津上村より要請があった場合はいつでも代表を派遣すること。
 同年八月二十日、黒羽町公民館に二町二ヶ村の委員会を開催した。
(湯津上村を除く)
 黒羽町長より、未だに湯津上村が態度未決定の報告があり、ために一部委員よりは県試案による合併を促進すべしとの声も出たが、協議会は郡試案を決定づけるために、湯津上村への折衝を申し合せた。その結果、川島黒羽町長、川西磯町長、吉成両郷村長、菊池須賀川村議長の四人が選任されて、九月上旬湯津上村へ出向いた。
 同年九月十四日、黒羽公民館に協議会開催、湯津上村は村内の意見不一致のため、二町二ヶ村合併を促進されたいとの回答のあったことを、黒羽町長より報告があった。
 同年十月一日、二町二ヶ村、即ち黒羽町、川西町、両郷村及び須賀川村は新たに合併促進協議会を組織した。会長黒羽町長、委員黒羽町十四名、川西町十四名、両郷村十四名、須賀川村十四名よりなっている。
 当日左の通りの規約が定められた。
  町村合併促進協議会規約
第一条 この協議会は黒羽町、川西町、両郷村、須賀川村(以下「関係町村」という)合併促進協議会(以下「協議会」という)と称し関係町村が町村合併促進法第五条の規定に基いて町村合併に関する必要な調査、新町村建設計画の策定その他合併に関する協議を行うことを目的として設けるものとする。

  〈協議会の担任する事務〉
第二条 協議会は左に掲げる事務を行う。
 一 町村合併に関する必要な調査
二 町村合併促進法第六条第一項に規定する新町村建設計画の策定その他町村合併に関する協議

  〈協議会の事務所〉
第三条 協議会の事務所は栃木県那須郡黒羽町公民館内に置く。
  〈組織〉
第四条 協議会は会長以下委員五十六人を以て組織する。
  〈会長〉
第五条 会長は関係町村の議会の議長及び長が協議して定めた町村長を以てこれに充てる。

 2 会長は非常勤とする。
  〈委員〉
第六条 委員は左の者をもってこれに充てる。
 一 関係町村の議会の議長及び副議長
 二 関係町村の議会の選任した議員各一人
 三 関係町村の長及び助役
 四 関係町村の長がその協議により定めた関係町村の職員各一人
五 関係町村の区域内の公共的団体等の役員並びに学識経験者で関係町村の長がその協議により定めた者八人

 2 委員は非常勤とする。
  〈会長の職務代理〉
第七条 会長に事故があるとき、又は会長が欠けたときは、会長が予め指定した委員がその職務代理をする。

  〈会議の招集〉
第八条 協議会の会議は会長がこれを招集する。
2 会議開催の場所及び日時は会議には付すべき事件とともに会長が予め三日前これを委員に通知しなければならない。

  〈会議の運営〉
第九条 協議会の会議は委員の半数以上の者が出席しなければこれを開くことができない。

 2 会長は協議会の会議の議長となる。
3 協議会の会議の議事その他会議の運営に関し必要な事項は協議会の会議で定める。

  〈職員〉
第十条 協議会の担任する事務に従事する職員は関係町村の職員の中から関係町村の長が協議して定める。

  〈協議会の経費〉
第十一条 協議会に要する経費の負担額、支出の方法。その他必要な事項は関係町村の長が協議して定める。

  〈雑則〉
第十二条 この規約に定めるものゝ外協議会に関し必要な事項は関係町村の長が協議して定める。

  〈附則〉この規約は昭和二十九年十月一日から施行する。
 本規約を基にして、関係町村の協議会が再三開催されて、合併への基本を固めていった。
 十月十一日、第一回協議会開催、合併形式を合体合併とし、期日を昭和三十年一月一日とした。又協議会内に各町村四名よりなる小委員会を設定した。
 十月二十三日、第一回小委員会を開催し、次の事項を審議した。
一 議会の任期を昭和三十年十一月三十日とすること。
二 教育委員の任期を同じく昭和三十年十一月三十日とすること。
三 町村民税賦課率については均等課税とすること。
四 第一回評議員選挙に限り選挙区を設定し四区制とすること。
 十月二十九日、第二回小委員会開催
 庁舎の位置について、川西、黒羽に異論があったが、須賀川、両郷委員より次の斡旋が出された。
一 庁舎を新築して位置は黒羽町とする。
二 その間は現川西庁舎を使用する。
三 新築については各町村より委員を選出して審議する。
四 費用負担は黒羽町とする。
 結果、黒羽町は了承したが、川西町は態度を保留し、決定は次回に持ちこまれた。
 十一月十一日、第三回小委員会を開催、前回保留の庁舎位置を審議したが、採決しなかった。
 十一月三十日、第四回小委員会を開催したが、本日も又審議未了となった。
 十二月十三日、第五回小委員会を開催、数時間に亘り紛糾した後に、庁舎について次の通り決定した。
一 黒羽町現庁舎に新庁舎を新築する。
二 その間、現川西庁舎を庁舎とし、新築後庁舎を黒羽に移し支所とする。

三 庁舎建築委員として各町村五名を選出し、うち二名を常任委員として庁舎の設計審議に当る。

 なお、さきに決定した合併期日については、二月十一日に変更する事を申し合せた。
 十二月二十二日、第二回協議会開催、小委員会に於て審議した事項を決定した。
 なお、須賀川村の財産の内山林については、財産区を設置することが決定した。(協議事項は略す)