わが国の選挙制度は、制限選挙制から始まったが、その初期から普通選挙制(納税などの資格制限のない制度)を要求する動きが見られた。
先ず、明治二十五年に普選運動期成会が設立されたのを始めとして、明治三十年代には、日清戦争後の社会運動の一環として社会主義団体、労働団体を中心に主張された。
その後、第一次大戦後のいわゆる大正デモクラシーの高まりと不況による労働運動の激化の中で、普選運動も強まり頂点に達した。
このような状況のもとで、第四十二回帝国議会以降毎回普選法案が提出されていたが、大正十四年加藤高明を首班とする護憲内閣のもとで、ようやく普通選挙法が成立した。