この第十六回総選挙は、激しい選挙運動によって行われ、選挙の腐敗に対する批判が強まった。こうして普選法成立後は、もっぱら選挙の粛正が問題となり、そのための選挙法の改正が議論されるようになった。
政府においても、昭和五年(一九三〇)浜口内閣のもとで選挙革正審議会が設置されたのを始めとして、選挙粛正への取りくみが始まったが、昭和十年(一九三五)には岡田内閣のもとで選挙粛正委員会が組織され、全国的に粛正運動が展開されるようになった。この政府の動きに呼応して、民間においては選挙粛正同盟会などの諸団体が集って、選挙粛正中央連盟を組織し、官民の総力を挙げて選挙粛正運動が行われた。
このような状況のもとで、昭和九年に法改正が行われ、選挙運動の取締り、買収罪等の罰則の強化などが図られた。