4 戦時中の食糧増産運動

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 川西町の戦時統制関係事務並新規勧業事務で、昭和十五年度(一九四〇)米穀雑穀の一斉調査、木炭、砂糖の配給統制、労力調整調査等が行われた。農業増産推進隊の推薦で農業報国の精神に燃ゆる、農村中堅人物に食糧の増産に邁進させるため、大字蜂巣磯剛造氏が推薦されて内原訓練所に入所し訓練をうけた。
 節米並農家保有米供出運動が、大政翼賛会により「節米並保有米供出運動要綱を設置し、国民食糧の確保のため増産と節米の励行を、各市町村に通達している。一般消費と、生産者に対す方策として一日一人当二合二勺、生産者は二合五勺と仲々厳しいものである。
 
      米麦供出報国運動
 栃支第二七九号
  昭和十七年九月十二日
               大政翼賛会栃木県支部
                   庶務部長 渡辺志郎印
               栃木県翼賛壮年団
                   団長   森田正義印
  大政翼賛会市町村支部長殿
  翼賛壮年団市町村団長 殿
     米麦供出報国運動ニ関スル件
現下ノ食糧事情ニ鑑ミ大政翼賛会、翼賛壮年団一体トナリ百二十万県民ノ愛国ノ赤誠ニ訴ヘ別紙要項ニ基キ米麦供出報国運動ヲ展開致スコトニ決定候条、貴町村ノ実情ニ即シ具体的計画的運動ヲ展開シ以テ所期ノ目的ヲ達成セラレ度、此段及通牒候也

追テ県経済部、農産物検査所、県農会、産業組合ヨリ市町村当局並ニ系統団体ニ対シ夫々協力方ニ関シ通牒セラレ候ヘバ、篤ト御協議御連絡相成リ運動展開上万遺憾ナキヲ期セラレ度ク申添候

    米麦供出報国運動翼賛壮年団実践要領
一、本運動ガ団組織ノ強化、且錬成活動ノ一翼ナルコトヲ確認スルコト。従テ団員ノ統一的活動コソ運動成否決定ノ鍵デアル。

二、翼賛壮年団ハ翼賛運動ノ実践部隊ナルニ鑑ミ本運動ノ実質的担当者タルノ役割ヲ果スコト。

三、運動展開上ノ重点ハ市町村協議会ナルヲ以テ必ズ開催セシムル様努力スルコト。

四、市町村協議会ニ引続キ部落協議会ヲ必ズ開催セシムルコト。尚本協議会ハ満州事変記念日ニ相当スルヲ以テ早朝神社ノ社前ニ於テ開催スル様取計ラウコト。

五、本運動ハ農民ノ愛国心ニ訴ヘ自発的、積極的ニ供出スル気構ヘヲ昂揚セシメ強制的出荷促進ニ陥ラサル様努メルコト。

六、食糧増産ノ完遂トハ供出ノ完了ヲ俟ツテ初メテ成就スルモノナルコトヲ全農民ニ徹底セシムルコト。

七、早場米地帯ニ於テハ運動ノ重点ヲ早場米出荷促進ニ置クニ止マラズ本運動ヲ共同作業施回ノ契機タラシムルコト。

八、市街地壮年団ニアリテハ本期間ヲ徹底的節米精神昂揚週間トシ農村ノ供出運動ニ呼応シ都市ト農村ノ対立観念ノ一掃ニ努ムルコト。

九、市街地壮年団ガ勤労奉仕隊ヲ編成シ農作業(稲刈、麦供出輸送)ニ従事セントスルトキハ郡農会又ハ出向先壮年団ト充分ナル連絡ヲ採ルコト。

十、本運動完了ニ当リ団ハ直チニ運動ノ経過ト成績トヲ県団宛報告スルコト。

 報告用紙ハ追テ送付ス。
十一、本運動ノ成否ハ翼賛壮年団ノ鼎ノ軽重ヲ問ハレ、団今後ノ運動ニ至大ノ影響アルベキヲ以テ充分ナル用意ト决意トヲ以テ努力スルコト。

〔山前村翼賛壮年団「翼賛壮年団関係綴」足利市役所所蔵〕