③栃木県木材株式会社の設立

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昭和十六年(一九四一)六月一日、木材統制法の公布によって、今日まで自由営業であった木材業製材業配給業者は営業を停止され、これらの人々によって、全国的に木材会社が設立され、木材の生産、配給の一切が国家統制下におかれた。栃木県木材株式会社は、昭和十七年(一九四二)三月設立され、国、県の証明がなくては、一本の角材、一枚の板をも動かすことはできなかった。県木社は、十八年十二月、栃木県地方木材株式会社と改組された。
 政府が年間の木材生産量と需要者とを県別に決定し、県は地木社と森林組合に割当した。
 当時の例を示すと、
 「木材緊急確保
一、主催者 栃木県木材供出緊急増産報国会
  生産責任者 栃木県地木社・栃木県森林組合連合会
二、実施期間 昭和二十年(一九四五)七月十一日より同年八月十日
三、生産計画 (イ)伐木造材二十二万五千石
       (ロ)杉皮十三万束(坪)穂付丸太一万本
(ハ)運材(工場出)十二万石、工場には一定量の素材を保有し、運営上絶対のものとす。

(ニ)小運送二十万石、山元滞貨一掃に重点を置き、より高率なる干燥木材の小運送を致すよう特段の工夫をなすこと。

四、略す
 下表のような大量の木材を、僅か三十日間に搬出するような無暴の計画を軍、警察の監視下に実行させられた。すでに、民間には地下足袋、手拭、橇用油、鋸の材料、やすり総てがなかった。昭和二十年(一九四五)八月十五日、日本国中の大半の新設工場は未完成のまゝに無条件降伏したが、強制伐採命令で山林の大半をなくした山林所有者は哀れであった。
五、出張所別生産割当表
材木造材
種別地木社県森連合計
出張所
宇都宮一八、〇〇〇三、〇〇〇二一、〇〇〇
川西一三、〇〇〇七、七〇〇二〇、七〇〇
烏山二一、〇〇〇二、〇〇〇二三、〇〇〇
矢板一九、〇〇〇四、〇〇〇二三、二〇〇
鹿沼四一、〇〇〇一九、一〇〇六〇、一〇〇
今市二一、五〇〇一四、五〇〇三六、〇〇〇
佐野二七、〇〇〇五、九〇〇三二、九〇〇
黒磯一七、〇〇〇一、一〇〇一八、一〇〇
西那須野一一、〇〇〇四、二〇〇一五、二〇〇
益子一〇、〇〇〇五、八〇〇一五、八〇〇
栃木一八、〇〇〇六、二〇〇二四、二〇〇
足利八、五〇〇一、三〇〇九、八〇〇
二二五、〇〇〇七五、〇〇〇三〇〇、〇〇〇
 
杉皮
種別地木社県森連合計
出張所
宇都宮一二、〇〇〇二、七〇〇一四、七〇〇
川西一〇、〇〇〇九、二〇〇一九、二〇〇
烏山一三、〇〇〇一、六〇〇一四、六〇〇
矢板九、〇〇〇四、〇〇〇一三、〇〇〇
鹿沼二七、〇〇〇一八、一〇〇四五、一〇〇
今市一四、〇〇〇一五、三〇〇三九、三〇〇
佐野二〇、〇〇〇四、四五〇二四、四五〇
黒磯五、〇〇〇九〇〇五、九〇〇
西那須野七、〇〇〇三、〇〇〇一〇、〇〇〇
益子二、〇〇〇四、三〇〇六、三〇〇
栃木七、〇〇〇五、二五〇一二、二五〇
足利四、〇〇〇一、二〇〇五、二〇〇
一三〇、〇〇〇七〇、〇〇〇二〇〇、〇〇〇
「栃木県木材史」より

 当時の木材価格の一部を示すと(十六年二月)
 「黒羽材木商組合公定小売価格表
 杉板(四分板)・二分三厘・一等品(六尺)
  種別      数量     価格
 尺        一束十五貫入  六円八九銭
 上小節尺     一束十五貫入 一二円三〇銭
 無節尺      一束十五貫入 一四円二六銭
 椹板三分五厘
 一等並八寸    一束十五貫入  七円〇九銭
 一等無節八寸   一束十五貫入 一一円一八銭
 杉正角十三尺一本ニ付
 一等並四寸            四円三九銭
 二等並四寸            三円七〇銭
 三等四寸             三円一八銭
 桧正角十三尺一本ニ付
 一等並四寸            六円〇六銭
 二等並四寸            四円八二銭」注「栃木県木材史」