政府が年間の木材生産量と需要者とを県別に決定し、県は地木社と森林組合に割当した。
当時の例を示すと、
「木材緊急確保
一、主催者 栃木県木材供出緊急増産報国会
生産責任者 栃木県地木社・栃木県森林組合連合会
二、実施期間 昭和二十年(一九四五)七月十一日より同年八月十日
三、生産計画 (イ)伐木造材二十二万五千石
(ロ)杉皮十三万束(坪)穂付丸太一万本
(ハ)運材(工場出)十二万石、工場には一定量の素材を保有し、運営上絶対のものとす。
(ニ)小運送二十万石、山元滞貨一掃に重点を置き、より高率なる干燥木材の小運送を致すよう特段の工夫をなすこと。
四、略す
下表のような大量の木材を、僅か三十日間に搬出するような無暴の計画を軍、警察の監視下に実行させられた。すでに、民間には地下足袋、手拭、橇用油、鋸の材料、やすり総てがなかった。昭和二十年(一九四五)八月十五日、日本国中の大半の新設工場は未完成のまゝに無条件降伏したが、強制伐採命令で山林の大半をなくした山林所有者は哀れであった。
五、出張所別生産割当表
材木造材 | |||
地木社 | 県森連 | 合計 | |
出張所 | |||
石 | 石 | 石 | |
宇都宮 | 一八、〇〇〇 | 三、〇〇〇 | 二一、〇〇〇 |
川西 | 一三、〇〇〇 | 七、七〇〇 | 二〇、七〇〇 |
烏山 | 二一、〇〇〇 | 二、〇〇〇 | 二三、〇〇〇 |
矢板 | 一九、〇〇〇 | 四、〇〇〇 | 二三、二〇〇 |
鹿沼 | 四一、〇〇〇 | 一九、一〇〇 | 六〇、一〇〇 |
今市 | 二一、五〇〇 | 一四、五〇〇 | 三六、〇〇〇 |
佐野 | 二七、〇〇〇 | 五、九〇〇 | 三二、九〇〇 |
黒磯 | 一七、〇〇〇 | 一、一〇〇 | 一八、一〇〇 |
西那須野 | 一一、〇〇〇 | 四、二〇〇 | 一五、二〇〇 |
益子 | 一〇、〇〇〇 | 五、八〇〇 | 一五、八〇〇 |
栃木 | 一八、〇〇〇 | 六、二〇〇 | 二四、二〇〇 |
足利 | 八、五〇〇 | 一、三〇〇 | 九、八〇〇 |
計 | 二二五、〇〇〇 | 七五、〇〇〇 | 三〇〇、〇〇〇 |
杉皮 | |||
地木社 | 県森連 | 合計 | |
出張所 | |||
坪 | 坪 | 坪 | |
宇都宮 | 一二、〇〇〇 | 二、七〇〇 | 一四、七〇〇 |
川西 | 一〇、〇〇〇 | 九、二〇〇 | 一九、二〇〇 |
烏山 | 一三、〇〇〇 | 一、六〇〇 | 一四、六〇〇 |
矢板 | 九、〇〇〇 | 四、〇〇〇 | 一三、〇〇〇 |
鹿沼 | 二七、〇〇〇 | 一八、一〇〇 | 四五、一〇〇 |
今市 | 一四、〇〇〇 | 一五、三〇〇 | 三九、三〇〇 |
佐野 | 二〇、〇〇〇 | 四、四五〇 | 二四、四五〇 |
黒磯 | 五、〇〇〇 | 九〇〇 | 五、九〇〇 |
西那須野 | 七、〇〇〇 | 三、〇〇〇 | 一〇、〇〇〇 |
益子 | 二、〇〇〇 | 四、三〇〇 | 六、三〇〇 |
栃木 | 七、〇〇〇 | 五、二五〇 | 一二、二五〇 |
足利 | 四、〇〇〇 | 一、二〇〇 | 五、二〇〇 |
計 | 一三〇、〇〇〇 | 七〇、〇〇〇 | 二〇〇、〇〇〇 |
「栃木県木材史」より |
当時の木材価格の一部を示すと(十六年二月)
「黒羽材木商組合公定小売価格表
杉板(四分板)・二分三厘・一等品(六尺)
種別 数量 価格
尺 一束十五貫入 六円八九銭
上小節尺 一束十五貫入 一二円三〇銭
無節尺 一束十五貫入 一四円二六銭
椹板三分五厘
一等並八寸 一束十五貫入 七円〇九銭
一等無節八寸 一束十五貫入 一一円一八銭
杉正角十三尺一本ニ付
一等並四寸 四円三九銭
二等並四寸 三円七〇銭
三等四寸 三円一八銭
桧正角十三尺一本ニ付
一等並四寸 六円〇六銭
二等並四寸 四円八二銭」注「栃木県木材史」