(8)林業構造改善事業

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森林には、国土保全・国民の保健休養・水資源の涵養・木材の供給等の役割があるが、それを実行し、維持継続してゆくのは山村の人々である。
 昭和三十年(一九五五)以降我が国経済の高度成長、産業構造の変化、多量の外材輸入、内地材々価の下落は、山村民の林業ばなれとなり、ついには過疎化現象を呈するにいたった。五十年後の収入を夢見ていては、今月の一家の経営はできないからである。
 参考に、本町内の人口動態と、材価の推移を次表にてみると、
黒羽町人口動態表(住民基本台帳より)
人口人口比率
年度
昭和二五一二、一七一一三、〇一七二五、一八八一〇〇
三〇一一、五四二一二、三九九二三、九四一九五
三五一〇、七四三一一、六〇二二二、三四五八九
四〇九、七〇一一〇、四四六二〇、一四七八〇
四五八、八七七九、四五三一八、三三〇七三
五〇八、六一五九、一五九一七、七七四七一

 右表にみるとおり、三十年頃より年々人口は減少しているがこの傾向は造林面積の減少、木炭生産量の減少と、林業事情の悪化とも関連がみられる。
 下表に見らるゝとおり、足場材の単価は十一年間に一、五倍の上昇に比して、足場材伐採費は二、八倍、用材輸送費(トラック代)は三、三五倍、林業ではないが田植手間は四、六倍、古米の処理で悩んでいる米価でさえも二、三倍も上昇していることがわかる。
価格、生産費 変移表  調査場所 黒羽町大字須賀川地区
単価足場材
(皮剥四間モノ)
足場材伐採費
(本当)
用材輸送費
(土場ヨリ共販場マデ)
当地方田植手間
(一食付)
生産者米価
(石当)
年度単価比率単価比率単価
(石当)
比率単価比率単価比率
四〇六〇〇一〇〇二五一〇〇一四〇一〇〇六〇〇一〇〇一六、三七五一〇〇
四一五八〇九七三〇一二二一六〇一一四六五〇一〇八一七、八七七一〇九
四二六四〇一〇六三〇一二二一九〇一三五八〇〇一三三一九、五二一一一九
四三六八〇一一三三五一四四一九〇一三五九〇〇一五〇二〇、四六九一二五
四四六八〇一一三三五一四四二〇〇一四三九五〇一五八二〇、四七三一二五
四五七二〇一二〇四五一八八二二〇一五七一、〇五〇一七五二〇、五五三一二五
四六七二〇一二〇四五一八八二四五一七五一、二〇〇二〇〇二一、三〇三一三〇
四七七〇〇一一六四五一八八二八〇二〇〇一、六〇〇二六六二二、三八四一三六
四八八六〇一四三五〇二〇〇三九〇二七八一、八〇〇三〇〇二五、六四四一五六
四九九三〇一五五六〇二四四四〇〇二八五二、〇〇〇三三三三四、〇三八二〇七
五〇九〇〇一五〇七〇二八八四七〇三三五二、八〇〇四六六三八、七〇〇二三〇

 伐採収入が生産費より少なくては、山村に来る嫁さんもなくなり、後継者自身、林業より離れるのは当然である。右の二表は、現代の山村の世相を表を以て示している。
 政府は、このような全国的事態に対処するために、林業の総生産を増大し、林業従事者の所得を増大し、経済的・社会的地位の向上を図ることの急務であることを考え、本町に於ては四十年(一九六五)より四十二年にかけて林業構造改善事業が実施され、更に第二次林業構造改善が五十年(一九七五)より五十五年にかけ、一部は終了し一部は目下実行中である。
 次の表にみられるとおり、(表①・②)
 第一次林業構造改善事業には、五千五十三万三千円
 第二次林業構造改善事業には、三億八千六百九十弐万参千円
 の巨費が、山村民の所得向上のために投下され、一部は目下実施中である。
① 第一次林業構造改善事業一覧表(黒羽町)
(単位千円)
総事業費
50,533
事業種目
分収造林の促進入会林野の近代化国有林野の活用林地の集団化
5686
素材生産施設の設置造林施設の設置特殊林産物生産施設の設置木炭生産施設の設置
8081,7831,3632,524
樹種生産施設の設置早期育成林業経営の促進林道の改設作業道開設用機械の設置
1,15995540,541
協業の推進特認事業
501757

② 第二次林業構造改善事業
事業実績(計画)概要
(単位千円)
事業区分事業種目事業主体受益戸数事業内容事業費
経営基盤の充実事業固有林野活用事事業須佐木下組部分林組合11面積測量5.52ha120
その他
120
高度集約団地協業経営促進事業須賀川森林組合47経営計画樹立ノ件372ha
新植スギ15.5ha
ヒノキ11.1ha
枝打84ha
その他育林1.69ha
基幹作業道5343m
林道2路線1295m
100,469
合計100,589
素材生産施設の設置黒羽町森林組合558林内作業車2台1,834
チエンソー1台
その他
須賀川森林組合435林内作業車5台12,960
トラック1台
集材機1台
チエンソー14台
機械保管倉庫1棟69m2
両郷森林組合341林内作業車1台7.790
トラック1台
チエンソー1台
機械保管倉庫1棟103m2
22,584
造林施設の設置亀久造林組合5林内作業車1台1,416
刈払機4台
チエンソー3台
その他
城ヶ沢造林組合7林内作業車1台1,770
刈払機3台
チエンソー5台
北滝造林組合8刈払機2台542
チエンソー4台
3,728
特殊林産物等生産施設の設置矢倉しいたけ生産組合6林内作業車1台6,245
チエンソー2台
穿孔機2台
フレーム1棟174m2
人工ぼた場1箇所
加過機1台
乾燥機1台
その他
亀久しいたけ生産組合5チエンソー2台4,432
穿孔機2台
フレーム1棟115.2m2
貯水槽1基
人工ぼた場1箇所
加温機1台
乾燥機1台
その他
八溝しいたけ生産組合5林内作業車1台3,719
チエンソー2台
穿孔機3台
作業用建物1棟50m2
乾燥機2台
その他
寺宿しいたけ生産組合5林内作業車1台9,895
チエンソー2台
穿孔機2台
フレーム1棟304.5m2
貯水槽1基
加温機2台
冷蔵施設1式
作業用建物1棟68.5m2
乾燥機1台
その他
24,291
木材集出荷施設の設置栃木県森林組合連合会9組合フォークリフト2台1.264
剥皮施設1式
チエンソー1台
管理棟1棟247.6m2
機械保管倉庫1棟
77m2
貯木場施設整備15,002m2
126,458
特殊林産物集出荷貯蔵施設の設置栃木県森林組合連合会23組合作業用建物1棟100m215,090
トラック2台
141,548
合計192,153
協業の推進事業協業事業計画樹立促進事業黒羽町森林組合558協業計画書作成2件1,605
軽自動車1台
測量器具1式
森林現況カード
研究会
須賀川森林組合435協業計画書作成1件1,760
90ha
軽自動車1式
測量器具
森林現況カード
研究会
両郷森林組合341協業計画書作成2箇所58.7ha1,455
軽自動車1台
森林現況カード
研究会
4,820
協業生産基盤の整備事業黒羽町森林組合29林道2路線1570m44.422
須賀川森林組合20林道1路線1296m34,200
78,622
作業道整備事業黒羽町1,332トラクターショベル1台6,480
ダンプトラクタ1台
6,480
協業活動拠点施設の設置栃木県森林組合連合会9組合作業用建物1棟64.8m24,260
林業用機械整備補修
用機械器具一式
4,260
合計94,182
事業費合計386,923
予備費1,077
総合計388,000


林道開設