(3)明治十九年小学校令公布

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明治十九年(一八八六)近代的内閣制度の発足とともに初代文部大臣となった森有礼は国家主義制確立に相応する学校制度の確立を意図し「小学校令」を制定した。小学校令は初等教育の国家統轄を明確にし、わが国の小学校制度確立への礎石を築いた。なお、この尋常高等の名称は昭和十六年(一九四一)国民学校と改称されるまで用いられたのである。次にそのあらましを記す。
1 小学校を尋常・高等の二段階とし、修業年限を各々四か年とする。

2 小学校児童年齢は六歳より十四歳にいたる八か年で父母後見人は尋常小学四か年を修了させる義務がある。

3 小学校の経費は主として生徒の授業料、寄付金による。不足の場合は、市町村の議決により市村町費より補足する。

4 教育課程を統一する。尋常小学校では修身・読書・作文・習字・算術・体操(図画・唱歌を加えてもよい)、高等小学校では尋常小学校の外に地理、歴史・理科・図画・唱歌・体操・裁縫(女)

5 教科書は文部大臣の検定したものに限る。

6 地方によっては、簡単な初等教育を行なう制度として小学簡易科の設置を認めた。