昭和十六年(一九四一)三月一日勅令をもって国民学校令が、同月十四日文部省令をもって国民学校令施行規則が制定された。この勅令は四月一日から実施され国民学校が成立した。これは現今未曽有の世局に際した我が国が国家の総力を発揮するために我が国教学の本義に則って我が国独自の教育体制を確立し国民全体に対する基磯教育を拡充整備して国民教育の面目を一新し、皇国の負荷に任ずべき国民の基礎的錬成を完うすることを目ざして制定されたものである。この国民学校令の施行によって制度的に改革された点は次の諸点である。
1 小学校を国民学校と改称したこと。
2 国民学校の修業年限を八年としこれを義務教育としたこと。
3 国民学校の課程を初等科と高等科に分け修業年限を初等科は六年、高等科は二年としたこと。
4 国民学校に修業年限一年の特修科を置くことができること。
5 就学義務の徹底を図ったこと。特に保護者の貧困を事由とする就学義務の免除または猶予の制度を廃止し、また心身に異常のある者の就学促進のため特別の養護施設を講ずることができるようにした。