「学校教育法」の制定により新たに三年課程の新制中学校が、小学校六年に続いて義務制となった。新制中学校は昭和二十二年四月から発足したが、学年進行によって二十四年度に全学年の義務就学が完成した。二十三年度からの新制高等学校の発足に伴い旧制中学校の二年生と三年生は新設の高等学校に中学校を併設して、希望者はその二年生・三年生として教育するなどの経過措置がとられた。新制中学校の発足当時は予算や資材の不足から校舎設備、教材教具のすべてにわたりまた教員組織についても極めて不満足な状態であった。特に校舎や教室の不足は深刻を極めた。当初、戦災を免かれた旧高等小学校などを転用して、独立校舎をもち得たものは僅かであり、二部三部授業を実施したり講堂や屋内体育館を間仕切りし、又は廊下・昇降口・物置などを代用したもの、または青空教室や不正常授業は到るところでみられた。教員の約半数は国民学校からの転任や青年学校・旧制中学校からの充足によってまかなわれた。しかし改善充実の措置によって逐次整備され、数年のうちに中学校としての一応の充実と安定を加えることができた。