昭和二十二年(一九四七)四月から学校教育法が施行され、六・三・三・四制が規定され、小・中学校の九年を義務制とした。新制の学校は、まず二十二年に小学校及び中学校が、二十三年に高等学校が、そして二十四年(一九四九)に大学が発足した。小・中学校は、その後、幾たびかの改善が行われ、道徳教育の強化、基礎学力の向上、科学技術教育の重視、国民性の育成、体力づくりの重視などの改善や、内容の精選、方法の現代化へ等の努力が払われてきた。社会情勢の変化とともに、我が国の学校教育は急速な発展を遂げ、高等学校への進学率が九〇%を超えるに至り、このような現状にどのように対応するか、また、学校教育の現状からみて、児童生徒の知・徳・体の調和のとれた発達をどのように図るかなどの問題があった。昭和四十八年(一九七三)に教育課程審議会に「小学校、中学校及び高等学校の教育課程の改善について」諮問した。昭和五十一年(一九七六)に教育課程審議会は答申し、教育課程の基準の改善は、自ら考え正しく判断できる児童生徒の育成ということを重視しながら、次のようなねらいの達成を目指して行う必要があるとした。(1) 人間性豊かな児童生徒を育てること。(2) ゆとりのあるしかも充実した学校生活が送れるようにすること。(3) 国民として必要とされる基礎的・基本的な内容を重視するとともに児童生徒の個性や能力に応じた教育が行われるようにすること。
この答申を受けて、昭和五十二年(一九七七)七月に学校教育法施行規則の一部を改正し、小・中学校の学習指導要領を全面的に改訂し、小学校は昭和五十五年度、中学校は五十六年度から実施することとした。高等学校は五十三年八月に学習指導要領を改訂し、五十七年から学年進行をもって実施することとした。
小・中学校の学習指導要領の改訂は、学校教育の現状が知識の伝達に偏っている傾向を改め、自ら考え正しく判断できる力をもつ児童生徒の育成を重視し、次の方針により行われた。(1) 道徳教育や体育を一層重視し、知・徳・体の調和のとれた人間性豊かな児童生徒の育成を図ることとした。(2) 各教科等の基礎的・基本的事項を確実に身につけられるように指導内容を精選し、創造的な能力の育成を図ることとした。(3) ゆとりのある充実した学校生活を実現するために、各教科の標準授業時数を削減し、地域や学校の実態に即して授業時数の運用に創意工夫を加えることができるようにした。
(4) 学習指導要領で定める各教科等の目標及び指導内容を中核的な事項にとどめ、学校や教師の自発的な創意工夫を加えた指導が十分展開できるようにした。
なお、高等学校の学習指導要領は、(1) 学校の主体性を尊重し、特色ある学校づくりが出来るようにする。(2) 生徒の個性や能力に応じた教育が行われるようにする。(3) ゆとりある充実した学校生活が送れるようにする。(4) 勤労の喜びを体得させるとともに、徳育体育を重視することを基本方針として作成された。
これら学習指導要領の改訂は、明治初年、第二次世界大戦後の改革に次ぐ、第三の教育改革を具体化する第一歩ともいわれている。