(八) 軍人扶助

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 軍人扶助関係においては、戦時に入り、軍人の家族を扶ける為、昭和十年軍事扶助が実施された。
目的
軍事扶助事業は国家の為に身命を賭して働いた人々、又は現に軍務に服役している人々を後顧の憂なく安んじて兵務に服せしむる事業であって、即ち軍務に服したことに因って其の軍人の遺家族が生活の脅威を来した場合に其の生活を保障し、更に之等の人々を慰藉せんとする軍人援護の観念に依つて行われる事業である。

方法
生活扶助費は一人一日三十五銭迄支給せられ病気の為入院する場合は一日一円五十銭を支給せらるる等、相当優遇されて居り、之に要する費用は全部国費である。
然し法規には何れも制限があるので、中には適用を受くることのできない人々の生ずることは、是亦やむを得ないことで、之を補うものが民間の軍事扶助団体で行う扶助である。
この最有力なものを統制して軍事扶助栃木地方委員会を設け、加盟団体の連絡統制を図り、軍人援護思想の普及や扶助、慰籍等の徹底を図ることになっている。
又昭和十七年一月七日には外国引揚者居留民応急扶助が設けられた。この扶助に該当するものは次の者である。
内地に引揚げたる者にて、資産を有せず且、いまだ就職することを得ず、或は傷疾病等の為目下生活困難なもの。