○産業の振興に関する計画

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 ●農業計画
 ・現状と課題
農業は本町の基幹産業であり、商業はその盛衰に左右される状況下にある。しかし現在の農業をとりまく諸情勢は水田利用再編対策を始め、非常に厳しく従来の農業経営の近代化の方向に改善の必要がある。本町の農家数は千九百八十六戸で耕地面積二千五百十九ヘクタールで、(農家平均百二十六ヘクタールで、田が二千百二十ヘクタールと全体の八四%を占め、その他普通畑、草地、樹園となっている。

主要作物は、水稲、葉煙草、地域特作物として茶、こんにゃく等がある。

本町の農業基盤整備事業は、重要な事業である。第一次農業改善事業、第二次構造改善事業、総合パイロット事業、県営圃場整備工事(片田、北滝土地改良区)及び団体営の(鉢木土地改良区)等の圃場整備事業が行なわれた。昭和五十五年(一九八〇)三月町議会は全町圃場整備の実施を議決している。

稲作については、十~二十種類の品種が栽培されているが、米の生産調整以来「うまい米作り」の方向に転じ、「コシヒカリ」などの優良米の生産統一を図っている。なお「種子圃」の指定をうけ、優良種子の生産と良質米の生産地を目標に努力している。畜産は肉用牛、酪農が終戦後盛んになり自給飼料の向上を図るるため、水田転作作目として飼料作物の作付を指導し、飼養頭数の増殖を増進するため、草地造成の推進を図る。

農作物の流通対策・農業指導体制の強化・病害虫の防除。

以上を重点として推進する。

・農業振興の指標
区分基準年次
(昭和55年)
(A)
目次年次
(昭和60年)
(B)
伸び率
(B)/(A)
農業就業人口5,3405,00093.6
農家戸数1,9861,90095.6
農用地面積耕地面積ha2,1202,1000.99
346350101.0
樹園地5360113.2
2,5192,51099.6
1戸当り平均1.261.32104.7
草地5070140.0
農業総生産額千円4,834,0005,559,000111.5

・家畜飼養計画
区分基準年次
(昭和55年)
目標年次
(昭和60年)
乳牛(頭)1,0651,200
肉用牛(〃)9491,500
豚(〃)1,7002,000
養鶏(羽)14,00015,000

 ●林業計画
 現状と課題
本町の山林総面積は一万三千五百二ヘクタール、民有林一万二百三十ヘクタールで天然林・人工林に区分すると一万四百六十三ヘクタールが人口林で全体の七七・五%に至っている。林業をとりまく情勢は厳しく、製品の販路については、外材の輸入、鉄材、コンクリート等の木材代替品の進出に影響をうけている。林業の振興には、林地の構造を改善して、生産基盤の拡大、近代化の促進、山林労務者の確保のための福利厚生が必要である。

 ・施策
林業基盤の整備・林業経営の改善・林産物流通の合理化・林業指導体制の強化・林業指導

  以上の四点を重点としてその実現を期していく。
・林業振興の指標
区分基準年次
(昭和55年)
目標年次
(昭和60年)
林業就業人口910910
林家戸数1,2871,287
林業生産額千円520,000550,000
構成素材437,000448,000
特殊林物産28,00052,000
その他55,00050,000
森林面積ha13,50213,482
人工林面積10,46310,785

 ●工業計画
本町における工業は、零細企業が多く、従業員百名以上の企業は一社のみである。特に八溝林業地を反映して木材工業が多い。国道二九四号線の昇格、県道の整備、東北道の開通、東北新幹線の建設、国道四号線、東北本線の整備により、従来の阻害条件が緩和されてきている。労働力の確保には、農業基盤整備事業、農業機械化等の一貫作業による農業経営の合理化によって、省力化が図られた労働力を工業が吸収していく。このようにして、農工両全が期され、商業に及ぼす影響は大きく、町経済の発展と繁栄に資する。

 ・施策
立地条件の整備・工業地の確保・労働力の確保・新規工業の開発、以上の点について開発整備を図っていく。

・工業の現況
区分工業就業人口事業所数
昭和55年昭和60年昭和55年昭和60年
食糧品48591214
繊維工業3894311920
木材・木製品2842193127
紙・パルプ
出版・印刷6633
化学工業
窯業・土石292632
鉄鋼業
金属製品102524
機械2073131618
輸送機械231821
その他1291451524

 ●商業計画
 ・現況と課題
近年自動車の発展増加により、消費の動向は、近隣都市商業圏に傾いている。

町商工会と緊密な連絡を保ち「良い品を安く消費者に与える」、特色ある黒羽町商業圏の確立が必要である。

安心して消費活動ができるよう商店従事者の資質の向上に努め、町商業の発展を促進させる。

 ・施策
・経営の近代化、共同化、金融の円滑化、商店街の整備を重点的に推進していく。

・商業の現業
区分昭和55年昭和60年
商業就業人口1,1001,250
商店数店舗439450
販売額千円7,295,7509,759,750

 ・観光計画
本町は観光資源に恵まれているので、この開発と整備が重要である。

幸い温泉の試掘が成功しているので温泉を核としたり、リゾート・ゾーン(保養地帯)づくりを那珂川開発利用計画と併せて進め、那須、塩原温泉郷とタイアップした観光ルートを作る必要がある。

 ・施策
・観光資源の保存・開発・観光と地域産業の開発、以上の二点に力を入れその開発を図る。

・観光開発の指標
区分基準年次
(昭和55年)
目標年次
(昭和60年)
伸び率
1人あたり消費額
観光利用者(人)423,800450,000106
消費(千円)265,300300,000113666

 ・行財政の合理化に関する計画
 ・現況と課題
現在の行政システムは、事務執行と住民の福祉・利便を勘案して、本庁の外に二出張所を有し、事務執行にあたっており、課局体制は十課二局二室に分け、内部体制の確立をはかるため、庁議管理職会議等を定期的に開催し、意思の統一を図っている。職員については、少数精鋭主義を第一原則にして、適材適所の職員配置をしている。近年、町個有の事務に加え、国及び県の委託事務が増加しており、年々事務が増大するに鑑み、逐次職員も増加の傾向にあるが、極力これを抑止し、人件費の節減に努め、生活に直結した生活環境住民福祉及び教育施設の充実などに財源を充当し、「生きがいのある町づくり」の実現をめざす必要がある。

 ・施策
 ・行政の合理化
・住民参加の行政の推進、人事管理の適正化、庁内外の整備、行政組織の合理化、末端連絡組織の合理化

 ・財政の合理化
 ・広域行政の推進
以上の項目を積極的に実践することによって行財政の合理化を実現していく。

以上は昭和五十六年(一九八一)三月に発刊された、黒羽町振興計画〈昭和五十二年(一九七七)~昭和六十年(一九八五)〉のうち、総論と各論の概要を載せたものである。従って実施計画は除かれている。