8 絹本淡彩広凌観瀾図

919 ~ 919
本図は縦一五七センチメートル、横七〇センチメートルの幅物である。筆者は小泉檀山人斐で臨川亭主人の需に応じて画かれたものである。
 激しく凌ぎあう大波が大海をわたり烈風を伴いながら岩壁に怒涛の如く押しよせるさまが力強く描かれている。松柏をひき裂くかと思われる強風にも精いっぱいの力で耐えている不動の岩壁、豪快な構図のなかから海なりと松籟とが聞えるようであり、また自若として岩頭に立つ君子たちの不動の姿にしづけささえ感ずることができる。なおこの図は那珂川に臨む「高岩」を思わせ、あたたかみがただよっている。厳しい大自然と不動心とを描いたこの山水画は斐のすぐれた技量を示すものである。

絹本淡彩広凌観欄図