増業は家督相続にあたり、先格、古格を離れ、時宜を得た藩政をたて、困窮を極めた財政の立て直しの責を課せられたので英断をもって事にあたった。しかも子孫に相伝する秘録『創垂可継』を編集し家政の亀鑑とした。
書名は孟子の梁恵王章句下編にある「君子創業垂統、為可継也」から採った。同本三種をつくり、一つは御朱印箱に保管し、一つは藩主の居間に常備し、一つは家老、用人、大目付三段預りとし、日用政治見合いのときに用いた。しかも写本持ち帰り、他見を厳禁した。本書はまさに御朱印箱に保管せしめた原本である。
創垂可継
16 創垂可継(そうすいかけい)