17 止戈枢要(しかすうよう)

921 ~ 922
本書は大関増業編著の兵学の書籍であり、工業関係の書籍である。「止戈枢要惣目録」の簿冊子には百六十六巻、厚冊子には三百五十三巻と記されている。両方に序があり、特に前書には凡例十一項目の記載があり、増業の諸兵学書の校訂や類聚の立場を明かにしている。また後書には「文化甲戌より文政壬年に至るおよそ九年」と編集の年代を明記している。すなわち増業の藩主として在位した十二年間のうち九年をかけている。百六十六巻本の惣目録には、師津要略、兵技統記、器械做法、機織彙編、組糸備考、彩色類聚、工匠〓録、放鷹要談の諸綱があり、三百五十巻本の惣目録には、師津要略、兵技統記、兵具做法、別録諸綱がある。これをみると後書は前書の補修版であろうが、かえって要約されている面もある。機織彙編のみは文政十三年に公刊されて好評を得た。
 増業は、加藤舎人時代には武術にはげみ、なかでも兵法、弓道、馬術等の免許を受けているが、惣目録の自序にある「兵家者流書二千有余巻に就いて煩文を除き、浮辞を截り不足を補う」をみても武芸の蘊奥を極めたことがわかる。