28 十一面観世音像

924 ~ 924
この観音像は、像高一四〇センチメートル、肩幅三二センチメートル、鎌倉時代の作で胎内に弘安元年、仏師堯尊作とあり一木づくりで七百年前の仏像である。本町の文化財として作者名のある最古のものである。
 十一面観音は頭上の天冠台の上に、十一面の頭上面をいただいているが、観音堂焼失の際に紛失したものと思われる。同じ種類の面が三面残るのみである。古老の伝えるところによれば八溝観音と同一の木で、しかも元木で造られたので姉さま(観音は女体のため姉の言葉)という説が残っている。
 この観音堂は、延享二年(一七四五)野火にて焼失したが現在残されている棟札をみると「本尊観世音併御前立之観音奉出候」とあり、仏像焼失はまぬかれ、延享五年堂の再建がなされた。三間四面四方垂木濡縁付の御堂は修復困難のため腐朽したので新に縮少した御堂を同地道坂に建立観音像を安置した。

十一面観世音像