57 絹本著色黒羽城鳥瞰図

930 ~ 931
この図は縦一七一・三センチメートル、横八三・〇センチメートルの幅物である。
 天保八年(一八三七)九月、黒羽藩主大関増儀が侍臣小泉斐に命じて、那珂川と松葉川間の丘陵上に構築してある本丸、二の丸(北城)、三の丸など複郭居館型の山城、家中屋敷と居所下の町並みをくわしく、鳥瞰図に描かせたものである。
 同図には郭内の土塁、空濠、水濠、城砦特有の迂余曲折した七曲りなどの道路、廊下門、北門、大門などの城門、城塀と藩主の居館、藩士の邸宅、田町の町並み、物見櫓、硝倉、郷倉その他の穀倉、武庫など描かれている。また鎮国社、帰一寺、大雄寺、新善光寺、長松院などの社寺が描かれ、城砦と社寺の関係の深いことを示している。さらに馬場、舟橋、河岸のようすも克明に描かれている。この図は天保のころの城砦のようすを知る上に、貴重な資料であり、又鳥瞰図法が採られていて、絵画としても価値が高い。