二、高岩園

937 ~ 937
 高岩(菊池ヤヨエ氏所有・黒羽向町一〇一九)は、水の黒羽にふさわしい景勝の地である。岩上に松の木立を載せ、天然の妙を尽くした岩(川面よりの高さ約九メートル余)が那珂の清流に臨んでいる。岩上に立てば、北に那須の山々を仰ぎ、対岸には黒羽城址公園・大雄寺に続く緑の高台が連なり、脚下には清流が瀬をつくり、渦を巻き、淵となる。対岸に立てば、松と岩と水とが織りなす一幅の絵のような景観のすばらしさに、しばし目を見張る。

景勝地「高岩園」


造形の妙をみせる高岩(東側)とその対岸

 往時は、水泳シーズンともなると、岩上から飛び込んだり、瀬を下ったり、河童達のよい泳ぎ場所でもあったが、現在は遊泳禁止になっている。
 高岩を中心として上・下流一帯は鮎の好釣り場としての名も高く、友釣り・ドブ釣りで賑わう。またハヤ・鯉等の釣りにも好適である。
 ここには高岩神社と波切不動尊があり、那珂川で帆かけ船や筏で舟運が行われていた時代、近郊農民の五穀豊穣と船頭さんの無事息災を祈願したという。その昔、那須余一が屋島の合戦で、この波切不動の霊験によって波が鎮まり、見事扇の的を射落とすことができたと伝えられている。
 なお、高岩の周辺は多くの史跡・文化財等に恵まれているところである。
 白旗城址・芭蕉の句碑(常念寺・光明寺跡・玉藻稲荷神社)・曽良の句碑(西教寺)・源実朝の歌碑(玉藻稲荷神社)・木造阿弥陀如来立像(西教寺)・鹿子畑翠桃墓所(西教寺の東)・玉藻稲荷神社と鏡が池・大関増次墓地(石井沢)・大野室(むろ)の銀杏(いちょう)(寒井三島神社)・湯泉神社の社叢(大豆田)