13 尻高田要害跡

950 ~ 951
① 大字北野上字中山  ② -  ③ 山林  ④ 良  ⑤ 伊王野氏と伝う  ⑥ 天正年代  ⑦ 伊王野氏の出城とみられる

 尻高田要害は野上川上流の左岸の丘陵端にある典型的な山城(砦)である。砦は標高三三六メートルの山上にあり、後背は山続きで、郭は単郭である。なだらかな平坦部の一部は削平されている。北側に半円状の空堀があり、一部は帯郭となっている。その外側は土塁で中央に虎口があり、北西部に烽火台、物見台とみなされる地ぶくれがある。山腹は急崖で、裾部は野上川の深い谷である。本館の後背はなだらかに南傾し、帯郭、堀り割りなどが交錯してあり、南端にも半円状に空堀と土塁があり、一段下ったところに細い帯のような郭がある。なお野上川は外堀の役目をしている。砦の下の古道は浜街道で尻高田川沿いの古道は両郷・伊王野・川上・南方方面に通じ軍事道口の一つである。この要害は天正年代佐竹氏の侵入に備えた伊王野氏の出城と伝えられる。